記事掲載日:2026/4/28
※本記事は「環境ビジネスオンライン」より提供を受けて掲載しています。
経済産業省は3月19日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT) ・フィード・イン・プレミアム(FIP)制度における2026年度以降の買取価格等を正式に設定した。 2月の調達価格等算定委員会で示された意見を踏まえたもので、事業用太陽光発電のうち屋根設置は初期投資支援スキームを継続する一方、地上設置は2027年度以降、FIT/FIPの支援対象外となる。 あわせて2026年度の再エネ賦課金単価は1kWhあたり4.18円に決まった。
事業用太陽光発電のうち屋根設置(10kW以上)は、2026年度・2027年度ともに初期投資支援スキームを継続する。運転開始から5年目までを19円/kWh、6〜20年目を8.3円/kWhとする段階的価格設定で、屋根設置の導入加速を図る。 この価格体系は2025年度下半期から導入されたもので、2027年度まで継続される。
調達価格算定委員会の検討によれば、屋根設置型のシステム費用は2025年設置案件で平均20.8万円/kW(中央値18.5万円/kW)となり、コスト低減が着実に進展しているという。ただし、自立化に向けては、さらなるコスト低減が必要との見解が示されている。

2026年度以降の調達価格など(出所:資源エネルギー庁)
既報の通り、2027年度以降は地上設置(野立て)の事業用太陽光発電はFIT/FIP制度の支援対象外とされた。 一方、屋根設置は支援対象として維持される。太陽光発電のFIT/FIPの適用区分は規模や条件に応じて整理されており、事業用太陽光は一定の条件を満たす場合、50kW未満でもFIP制度が認められる。
また、沖縄地域・離島などの供給エリアについては、FIP制度のみ認められる対象とされている場合にも、FIT制度を適用できることとなった。
こうした決定は、FIT制度開始以降、大規模のみならずすべての規模において技術革新などによる着実なコスト低減が進んでいる点や入札上限価格を下回る落札が継続的に見られていること、 PPAによる収益確保などFIT/FIP制度によらない案件の形成などが理由として挙げられる。
一方で、地域との共生が図られた形での太陽光発電の導入を促進していくことは重要との観点から、支援の重点化を行う対象などの2027年度以降の太陽光発電への具体的な支援のあり方については、 来年度の調達価格算定委員会において検討される。
また今回、2026年度の事業用太陽光発電(地上設置)の買取価格・基準価格も正式に設定された。10kW以上50kW未満は9.9円/kWh、50kW以上の入札対象外区分は9.6円/kWhとなる。 FIP認定対象のうち250kW以上は2026年度も入札対象で、入札回数は4回、上限価格は全回とも9.6円とされた。
上記は最新のコストデータに基づき算定された、50kW以上の区分でシステム費用12.9万円/kW、土地造成費が1.21万円/kW、接続費用が1.45万円/kWhという地上設置型太陽光発電の調達価格・基準価格が反映されている。
住宅用太陽光発電(10kW未満)も、2026年度・2027年度は初期投資支援スキームを継続する。 経産省は、2025年度下半期から導入した仕組みとして、24円/kWh(運転開始から4年まで)、8.3円/kWh(5〜10年)としている。
なお住宅用太陽光発電(10kW未満)に適用される初期投資支援スキームは、支援期間短縮の適用開始が2029年度となる見通しだ。
当初は2027年度からの適用が検討されていたが、業界団体からのヒアリングを通じて、FIT制度を前提としないビジネスモデルの構築に一定の期間を要することや卒FIT後の単年度契約に対する懸念が示された。 これを受け、さらに2年程度の準備期間を設けることとなった。
2026年度・2027年度の住宅用太陽光発電の調達価格における想定値は、システム費用25.5万円/kW、運転維持費0.30万円/kW/年、設備利用率13.7%、余剰売電比率70%、自家消費分の便益27.31円/kWh、調達期間終了後の売電価格10.0円/kWhと、2025年度に設定した2026年度の想定値が維持されている。

2026年度以降の調達価格など(出所:資源エネルギー庁)
陸上風力発電(新設)は、50kW未満の2026年度買取価格が14円/kWhに設定された。50kW以上は入札対象で、2026年度は1回実施、上限価格は14円とする。 さらに、入札容量が1.1GWを超えた場合には、同年度内に追加入札を行い、上限価格は同年度の加重平均落札価格または13.7円のいずれか高い額とされた。
最新のコストデータによると、資本費・運転維持費ともにすでに設定されている2025・2027年度の想定値を上回り、特に3万7500kW以上の効率的な案件においては上昇が見られた。
また、風力発電についても、再生可能エネルギー発電設備の適切かつ確実な廃棄等を確保するため、FIT/FIP制度における廃棄等費用積立制度の対象とする。同制度は2027年4月を目途に施行される予定。

2026年度以降の調達価格など(出所:資源エネルギー庁)
ペロブスカイト太陽電池の新区分創設は継続検討 洋上風力発電は引き続き実態把握継続
現在、日本では次世代型太陽電池の早期社会実装に向けては、量産技術の確立、生産体制整備、
需要の創出を三位一体で進め、2030年を待たずにGW級の生産体制の構築、2040年には約20GWの導入を目指している。全国各地でのペロブスカイト太陽電池の社会実証や量産化に向けた3000億円規模の設備投資が進められているほか、
今年度から予算による需要家向けの補助が開始するなど、社会実装に向けた取り組みも進んでいる。
2月2日時点の第114回調達価格算定員会では、ペロブスカイト太陽電池について「国産エネルギーとして重要であり、早期の社会実装を進めることが必要不可欠である」としつつも、 FIT・FIP制度による支援については「国民負担の抑制や、将来的に自立化する見込みがあることを前提とする必要がある」として、引き続き、「発電コストが電気料金水準未満になる時点を目安に、 新区分による支援を開始する方向で検討を継続」するとした。
また、洋上風力発電については、着床式(再エネ海域利用法適用外)が2027年度も引き続き入札制が採用される。
浮体式は、洋上風力発電を取り巻く事業環境の変化(インフレなど)や風車調達費用等の建設費用の増加が見られた点を踏まえ、これらが風力発電へ与える影響や、 FIT/FIP制度において支援を行う前提となる自立化に向けた道筋を確認した上で、2028年度以降の取扱いについて来年度以降の調達価格委員会で検討される。
3月19日の発表では、2026年度の再エネ賦課金単価が1kWhあたり4.18円に設定されたことも公表された。 総務省家計調査に基づく一般的な世帯の使用量である月400kWhを前提にすると、負担額は月1,672円、年額2万64円となる。適用期間は2026年5月検針分から2027年4月検針分まで。

経済産業省は2025年12月23日に「大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議」を開催し、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を決定した。 環境アセスメントの対象の見直しや実行性強化、再エネ地域共生連絡会議の設置などに加え、2027年度以降の事業用太陽光(地上設置)のFIT・FIP制度からの廃止を含めた検討を方針として示していた。
地上設置型の事業用太陽光発電は、FIT制度開始以降、認定量・導入量が大幅に拡大し、すべての規模において技術革新などにより着実なコスト低減が実現されている。 FIT制度開始以降、太陽光発電の認定量・導入量は大幅に拡大し、PPAによる導入も増加。民間調査によると、 国内におけるオフサイトコーポレートPPAの年間締結容量は2021年以降増加傾向にあり、2024年における年間オフサイトコーポレートPPA締結容量のうち約75%が太陽光発電だ。
こうした状況を受け、入札上限価格を下回る落札が継続的に見られ、PPAによる収益確保などにより、FIT/FIP制度によらない案件の形成が進んでいる。
一方で、こうした導入拡大・コスト低減が実現してきている中、自然環境・安全・景観などの地域共生上の課題が顕在化し、 いわゆる「負の外部経済性」が生じているのではないかとの指摘がなされる状況に至っていることも指摘されている。