【2026最新】カーボンニュートラルに関する2026年の注目テーマを紹介します|TOHOBIZNEX

カーボンニュートラルに関する2026年の注目テーマを紹介します

記事掲載日:2026/4/7

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きが加速するなか、2026年は企業の脱炭素経営が努力目標から生存戦略へと移行 する重要な年です。 今回はそんな2026年に予定されている日本国内の法改正、内外の政府施策、注目の国際会議などをテーマごとにまとめました。(ライター南由美子/nameken)

企業の対応が求められる法改正

●2025年11月から「再資源化事業等高度化法」が全面施行

リサイクルのあり方を変える可能性のある法律が2025年11月21日に全面施行されました。 「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」、略して「再資源化事業等高度化法」です。

製造業者が必要とする質・量の再生材を安定して供給させ、資源循環産業の発展につなげることで、カーボンニュートラルの達成や国際的な産業競争力の強化を図ることを目的としています。 従来のリサイクル関連の法律では廃棄物の「適正処理」に重点が置かれていましたが、この法律は 「資源としての高度な再活用」に重点が置かれているのが特徴です。

法律(再資源化事業等高度化法)において、高度化の対象として、「事業形態の高度化」「分離・回収の高度化」「再資源化工程の高度化」の3つが示されています。 これらを進めるため環境大臣による認定制度が設けられ、認定されると本来必要な廃棄物処理業許可などの手続きが不要になります。国は3年間で100件以上の認定事業の創出を目指しています。

企業には、製品が廃棄物となった場合の分離を容易にする措置を取り、再生材の利用に努めることが求められます。 また、廃棄物を出す際は、再資源化事業者が再資源化しやすいよう廃棄物の素材の情報を提供するとともに、脱炭素化に注力している信頼できるパートナー(再資源化事業者)を選定することが、自社の評価向上にもつながります。

●2026年4月から改正GX推進法に基づく排出量取引制度が本格始動

2026年には改正GX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法が4月1日から施行され、一部の企業に排出量取引制度が義務付けられます。対象となるのは年間CO2排出量が10万トン以上の法人。 2026年度は排出枠を割り当てる基礎となるCO2排出量の計測期間とされ、2027年度はその実績に基づいて排出枠が決まります。

対象企業は割り当ての基準となるCO2排出量データを正確に計測・報告する体制整備が必要です。 また、排出目標量や実績量を報告するため、あらかじめ登録確認機関による確認を受けなくてはなりません。2026年1月5日から登録申請が開始され、登録後は毎年、移行計画の作成・提出が求められます。

●2027年3月期から一部上場企業にサステナビリティ情報の開示義務

金融庁は2026年1月8日に公表された金融審議会の報告書を受け、2026年通常国会で金融商品取引法改正案の提出を目指しています。

報告書では2027年3月期から、国際基準に整合するサステナビリティ情報の開示を東証プライム上場企業に順次義務付けるロードマップについて、 2027年は時価総額3兆円以上、2028年3月期からは1兆円以上を対象 としています。

対象企業にはサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量「スコープ3」を含めた気候関連情報の開示が求められます。 上場企業だけでなく、その取引先となる中小企業にとっても、排出データの報告や削減努力がこれまで以上に強く求められることになります。

国内外の政府による施策

●GX支援策で1兆円規模の予算投入へ

日本政府によるGX支援策には、補助金による投資資金支援と税制措置による支援があります。

<補助金による投資資金支援>

補助金による投資資金支援については、2025年12月に「3つの柱」で進める方針が提示され、2026年度当初予算案で1兆円規模が盛り込まれています。

一つ目の柱は「エネルギー安定供給強化に向けたGX投資」。国産次世代エネルギーとしてペロブスカイト太陽電池などの技術開発から体制構築までを幅広く支援。 既存火力発電は水素やアンモニアなどへの燃料転換を促し、サプライチェーン構築や既存燃料との価格差を補填する支援を行うとしています。

二つ目は「未来につながるGX成長投資」。 クリーンエネルギー自動車や次世代エッジAI半導体(クラウドに依存せず端末単体で高性能なAI処理を実行する半導体)などの戦略分野を対象に研究開発・設備投資などを支援するとしています。

三つ目は「GX産業クラスターの創出に向けた投資」。2025年8月に「GX戦略地域制度」を創設し、コンビナート跡地や脱炭素電源などを核にGX産業の集積や関連インフラ整備を加速させる計画となっています。

<税制措置による支援>
生産コストの高い分野を対象に生産・販売量に応じた税額控除を行うもので、対象分野としては電気自動車をはじめ鉄鋼分野のグリーンスチール、 化学分野のグリーンケミカル、航空分野のSAF(持続可能な航空燃料)などがあり、これらの市場拡大が期待されています。

●環境省はサプライチェーンの脱炭素化を支援

環境省は2026年度予算案で「バリューチェーン・サプライチェーン全体の脱炭素移行の促進」を柱の一つに挙げ、サプライチェーン全体の脱炭素化への支援も盛り込みました。 具体的には、バリューチェーンを構成する代表企業と取引先の中小企業などが連携してCO2排出を削減するための設備導入を支援するものです。

また、2026年度の環境省の脱炭素化事業には「スコープ3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業」などがあります。 これは、中小企業の工場などを対象に、一定以上のCO2排出量削減が可能な設備の導入を補助金で支援するものです。

●EUが「炭素国境調整措置」を段階的に導入

海外に目を向けると、EUの「炭素国境調整措置(CBAM)」が2026年1月から段階的に本格適用され、2034年1月から全面運用されます。 これはEU域外からのセメントやアルミ、肥料、電力、水素、鉄鋼の輸入製品に対し、CO2排出量に基づいて課金する関税的な措置です。

EUの製品輸入事業者は輸入製品のCO2排出量を報告し、それに基づいてCBAM証書を購入する義務が課されます。 そのため日本の生産者も輸入事業者から排出量データを求められる可能性があり、正確な排出量を報告できるよう準備しておく必要があります。

本格適用の開始を目前に控えた2025年12月には、欧州委員会が対象品目の拡大を提案。鉄鋼とアルミニウムを素材として使用する約180品目の複合金属製品を2028年から対象にすると打ち出しました。 そのまま成立すれば対象品目を多く取り扱い、サプライチェーンの裾野も広い日本企業は大きな影響を受けると考えられます。

産業界も注目の国際会議

●気候変動のCOP31は2026年11月にトルコで開催

気候変動枠組み条約の第31回締約国会議(COP31)は2026年11月9~20日にトルコで開催されます。 議長国はトルコですが、副議長国に指名されたオーストラリアが「交渉議長」の委任を受けて議論を主導する役割を務める予定です。

主要テーマは、各国の温室効果ガス削減目標とパリ協定の目標との整合性、COP30で決定された適応策強化に向けた枠組みの実施、途上国資金支援目標の詳細化などになる見込みです。 また、COP31開催前に太平洋地域の島しょ国で「プレCOP」も行われることから、気候変動に脆弱な島しょ国における適応などが取り上げられる可能性もあります。

●RD20国際会議が2026年10月に南アフリカで

カーボンニュートラルの実現に向けてG20の研究機関が連携してイノベーションを目指す「第8回RD20国際会議」が2026年10月19~23日に南アフリカ共和国で開催されます。 もともと2019年に日本の産業技術総合研究所が主導して発足した会議で、 各機関が研究の重点テーマやプロジェクトの進捗を報告するとともに、議論を通じて地域特有の課題解決とカーボンニュートラル達成のための技術研究・実用化を加速します。

2050年カーボンニュートラルを実現するには、2030年までに温室効果ガスを46%削減(2013年度比)する中間目標の達成が重要なステップとなります。 今後も新たな施策が次々と打ち出される中、企業にはより具体的かつ実効性のある対応が求められます。

≪ライタープロフィール≫
  • 南由美子(みなみ・ゆみこ)
  • 愛知県生まれ。飲料メーカーの販売促進、編集プロダクションでの制作を経て、フリーランスに。
  • 中日新聞折り込みの環境専門紙で「世界のエコ」をテーマにしたコーナーを2年半ほど担当。現在はウェブメディアなどで食・住を中心とした暮らしや環境をテーマに執筆。
  • 名古屋エリアのライターやカメラマンで作る一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」のプロ(メディア)会員。

参考

経済産業省
排出量取引制度
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ets.html

経済産業省
「排出量取引制度」って何?脱炭素の切り札をQ&Aで基礎から学ぶ
https://journal.meti.go.jp/policy/202412/36485/

金融庁
サステナビリティ開示に係る動向
https://lfb.mof.go.jp/chugoku/syoutori/20250619siryou.pdf

日経新聞
金融庁がサステナ開示で報告書 27年3月期から順次義務化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB086GT0Y6A100C2000000/

環境省
資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律について
https://www.env.go.jp/content/000360673.pdf

経済産業省
炭素国境調整措置
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/cbam/cbam.html

日経BP ESGグローバルフォーキャスト
炭素国境調整メカニズム(CBAM)
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/forecast/atcl/rule/041500012/

日経BP ESGグローバルフォーキャスト
EU CBAM、180品目の対象拡大案 トラック、変速機――日本の製造業に影響大
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/forecast/atcl/trend/011900049/

環境省
令和8年度(2026年度)エネルギー対策特別会計当初予算(案) 全体概要
https://www.env.go.jp/content/000371527.pdf

環境省
令和8年度 概算要求 脱炭素化事業一覧
https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/enetoku/2026/

日経BP ESGグローバルフォーキャスト
26年のCOP31はトルコ開催に 競合オーストラリアが譲歩も「交渉議長」に
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/forecast/atcl/news/112000099/

住友商事グローバルリサーチ
国際的な気候変動対策を巡る2026年見通し
https://www.scgr.co.jp/report/column/2026020478888/

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
第7回RD20国際会議(つくば開催)、G20各国・地域の主要研究機関の最新クリーンエネルギー技術動向をまとめた「Now & Future」を公開
https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20260109.html

≪本サイト掲載コンテンツのご利用について≫
TOHOBIZNEXにて無償公開しているWEBサイト内の文書、及びその内容についての転載等は原則としてご遠慮頂いております。