
記事掲載日:2026/4/3
建築家アントニン・レーモンドの設計で1960年代に建てられた南山大学の体育館に、電源自立型のガス空調設備(電源自立型空調GHPハイパワープラス)を 導入した空調設備導入プロジェクト。その裏側にはさまざまな「見えない工夫」がありました。 南山大学の皆さんと工事を担当した東邦ガスエナジーエンジニアリングのメンバーが振り返るスペシャル対談の後編です。(インタビューライター 生木卓)

<対談参加者>
南山大学さま
●学生部長 理工学部 ソフトウェア工学科 教授 吉田さま
●学務部 学生課 学生課長 松平さま
●財務・施設部 施設課 施設保全係長 林さま
●財務・施設部 施設課 資産管理係長 高橋さま
東邦ガスエナジーエンジニアリング株式会社
○エンジニアリング営業部 営業第二グループ 熊崎さん
○ユーティリティーサービス部 技術グループ 松永さん
●林さま:古い建物ということもあり、これまでは体育館内に冷暖房がありませんでした。 夏場は窓や扉を開けて風通しをよくすることで過ごし、冬場はレンタルのジェットヒーターを使用していました。そんな中、近年の猛暑による熱中症対策は重要な課題でした。
●松平さま:歴史のある建物ですし、学生や教職員からも愛され続けてきた体育館なのですが、 やはり建築当時と大きく環境が変わってきていたので対策の必要がありました。 ジェットヒーターだけでは寒い冬の日は暖まるまでに時間がかかってしまうことも課題でした。
●吉田さま:私たち教職員も学生も「この歴史ある巨大な体育館に冷房を入れるのは難しい」と思い込んでいる節はありました。 それが東邦ガスエナジーエンジニアリングさんから他大学の事例を聞いて、「そんな方法があるんだ!」と検討が始まりました。
●高橋さま:この体育館は名古屋市の指定避難所にもなっていますので、避難所としての役割を果たすためにも、冷暖房の完備は必須事項でした。 そういった背景もあり、災害に強くエネルギー効率の良い電源自立型のガス空調設備(GHP)の導入を検討するようになりました。 費用的な面で私立学校施設整備費補助金の対象であったことも大きな後押しになったと思います。

○松永さん:ここ数年の気候変動により、空調設備の設置は多くの学校施設で課題になっています。 南山大学さまの体育館には、停電時にも一定時間稼働することができるようにバッテリーを内蔵している、自立ユニット型を採用いただきました。

●高橋さま:以前から検討課題にあった中で、複数の企業さんに相談しました。 その中でも、東邦ガスエナジーエンジニアリングさんはこれまで本学での空調設備の導入実績も多く信頼感がありました。 予算や導入設備、工事期間など、さまざまな面から検討した上で、東邦ガスエナジーエンジニアリングさんのプランを採択させていただきました。
○熊崎さん:先ほども松永から話がありましたが、体育館が地域の指定避難所であることから停電時でも空調が使える 「電源自立型GHP」をご提案させていただきました。この電源自立型のGHPをアリーナだけにするなど、複数の案をご提案させていただきました。 最終的には、1階のアリーナだけでなく2階の観覧席まで、すべてを電源自立型のGHPにする案に決まりました。


体育館に設置された室内機

極力目立たない位置に設置された室外機
●林さま:当初は室外機を出入り口の軒の上に設置する案もありましたが、安全性や外観を損ねるので見送りました。
○熊崎さん:一般的に、室外機と室内機は近ければ近いほど効率が良くなるので、一番シンプルな案ではそうなります。
○松永さん:室外機の設置場所や配管の通し方については、最大限に配慮しました。 計画の途中で日本建築学会賞を受賞されたことで、よりその重要性が高まりました。 南山大学の皆さまからは「いい意味でのプラスのプレッシャーをある程度は感じていただきながら、 ただ、それほど気にしなくてもいいですよ」と言っていただけましたが…(笑)。結果的に配管は通路をはじめとした館内に通す案をご採用いただきました。



館内を通る配管

遠目からは見えない位置に設置された配管
●林さま:工事の時期についても、柔軟に対応してもらいました。 夏休み直前まで課外活動等で使用し、さらに新学期が始まればすぐに体育の授業があるので、それらに影響を出したくないと依頼しました。 例年では、夏休みに体育館を利用する部活もありますが、そこは学生に協力してもらいました。
●松平さま:そうでしたね。本学では、10以上の課外活動団体が体育館など複数のアリーナを共有して活動しています。 各部活の練習場所を調整する「コート割り」は大変な作業でしたが、学生がうまくコートを譲り合って工事に協力してくれました。
○熊崎さん:学生の皆さまにご協力いただき、夏休みに工事を実施しました。人通りの少ない期間に工事を行うことでより安全に行うことができました。 配管を室内に設置することになり、屋外に足場を組む必要がなくなったことで、更に安全管理をしっかり行うことができました。
○松永さん:施設課スタッフの皆さまと密に打ち合わせができたのがよかったと思います。 現地を確認しながら、お話する機会も多かったです。大学の皆さまには、学内の各種手続きにも奔走していただいたと伺っています。 工事は、トラブルや遅れもなく予定通り終えることができました。試運転のときには緊張しましたが、問題なく動くという自信はありました。
●林さま:冷房も暖房も驚くほど早く効きます。特に熱中症は命にかかわる問題なので。避難施設としてもとても安心です。
●松平さま:11月の大学祭ライブでは体育館に1800人ほどが入りましたが、冷房のおかげで非常に快適でした。 部活動で利用する学生からも「快適になった」「怪我のリスクが減った」という声を聞いています。 指先が冷えて突き指をするようなことも減るでしょうし、熱中症の心配も軽減されました。いろいろな競技の学生大会を南山大学で開催したいという申し込みも増えているようです。
●高橋さま:こういう喜びの声が聞こえてくるのは、とても嬉しいですね。また光熱費も想定より低コストで収まっており、エネルギー効率の良さを実感しています。
○松永さん:自信をもって設置させていただきましたが、そういったお話を伺えるのはうれしいですね。
●吉田さま:熱中症が一番の心配でしたので、学生が安心して活動できるようになったことが何よりです。 「夏は暑いものだ」と我慢していましたが、これからは今まで以上にスポーツに打ち込んでほしいです。
●林さま:私たちの要望に対して真摯に応えていただきました。東邦ガスエナジーエンジニアリングさんにお願いしてよかったです。
○松永さん:レーモンド建築への空調導入に携わることができたことをとても誇らしく思い、感謝しています。
○熊崎さん:学生の皆さまの命を守るという南山大学さまの取り組みに微力ながらも貢献させていただけたことを嬉しく思っています。
●高橋さま:避難所としての機能が強化されたことで、地域の方々に安心して快適に過ごしていただけるようになりました。 工事後には、近隣の大学や、遠方の大学の施設担当の方がご見学されたこともありました。 今後は、一般の方にご参加いただけるキャンパスツアーも定期的に行っていきたいと思っていますので、ぜひご参加ください。
