都市ガス・水素・e-methane(e-メタン)を徹底比較!脱炭素社会のエネルギーを考える|TOHOBIZNEX

都市ガス・水素・e-methane(e-メタン)を徹底比較!脱炭素社会のエネルギーを考える

記事掲載日:2025/10/31

世界中で地球温暖化対策として「カーボンニュートラル」の実現が強く求められています。企業の皆さまにとって、 事業活動におけるエネルギーの脱炭素化は喫緊の課題です。 これまで事業活動を支えてきた都市ガスに加え、次世代エネルギーとして注目される水素やe-メタンには、それぞれに異なる特性とメリットがあります。 本コラムでは、これら3つのエネルギー源を比較し、未来のエネルギーミックスについて考えます。

都市ガス、水素、e-methane(e-メタン)を比較

項目 都市ガス 水素 e-methane(e-メタン)
主成分 メタン (CH4) 水素 (H2) メタン (CH4)
分子の大きさ 大きい 非常に小さい 大きい
製法 天然ガス田などからの採掘 水の電気分解、化石燃料の改質など 再生可能エネルギーによる水素とCO2の合成
カーボンニュートラル性 CO2を排出 燃焼時にCO2を排出しない 燃焼時にCO2を排出するが、製造過程でCO2を回収・利用するため実質ゼロ(カーボンニュートラル)
既存インフラとの互換性 高い 低い(専用設備必要) 高い(既存活用可能)

専門用語の解説

●カーボンニュートラル:CO2などの温室効果ガスの排出量を、「全体としてゼロ」にすること。 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理、CO2回収技術などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。※人為的なもの

●e-methane(e-メタン):再生可能エネルギー由来の電気を使って製造される、合成メタンのこと。

クリーンエネルギー「水素」のメリットと課題とは?

水素(H2)は、燃焼しても水(H 2O)しか発生しないため、CO2 を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されています。 発電や自動車の燃料、さらには産業プロセスの熱源としても活用が期待されており、用途が広いことも大きな魅力です。

発電用途:燃料電池やガスタービンを利用した発電で、安定した電力供給に貢献します。

輸送用途:燃料電池車(FCV)や燃料電池バスの燃料として、クリーンなモビリティを実現します。

産業用途:製鉄や化学工業など、高温を必要とする製造プロセスにおいて、化石燃料の代替として利用することで、産業全体の脱炭素化を加速させると期待されています。

地球温暖化対策の切り札として期待される水素ですが、安全に利用するためには、専用のインフラや機器の整備が必要となります。

ではなぜ水素は専用のインフラや機器の整備が必要なのでしょうか?

都市ガスは主にメタン(CH4)という炭化水素から構成されており、水素(H2)と化学的性質に大きな違いがあります。

1. 化学的特性の違い

水素分子は、メタン分子の約10分の1程度の大きさしかありません。 既存の都市ガス配管(ポリエチレン管、鋼管など)や継ぎ手(ねじ込み部など)は、メタンの分子サイズに合わせて設計されているため、 水素を安全かつ効率的に輸送するためには、微細な隙間からの漏洩を防ぐための、より厳密な管理と対策が必要です。

また、都市ガス配管に使われる金属製の配管は、水素と接触することで水素脆化(Hydrogen Embrittlement)と呼ばれる現象が発生する可能性があります。 これは、金属内部に水素分子が侵入し、強度が低下する現象です。特に高圧で水素を輸送する場合には、配管の品質が重要です。

2. 燃焼特性の違い

水素は都市ガスに比べて燃焼速度が速く、着火しやすい特性があります。 このため、既存のガス機器(コンロ、給湯器、ボイラーなど)はそのまま使用できません。 逆火(火が燃焼機器の内部に戻る現象)も起こりやすいため、防止する仕組みが必要です。

以上のような理由から、水素を安全に利用するには、水素の特性に適した専用の製造設備や供給システムの導入が重要です。 例えば、水素ステーションや、燃料電池、水素バーナーなど専用機器を導入・設置することで、水素エネルギーの力を最大限に引き出すことが可能になります。

e-methane(イーメタン)が注目される理由とその可能性とは?

e-methane(e-メタン)は、再生可能エネルギー由来の電力と、工場などから排出されるCO2を原料として製造される合成メタンです。その最大の利点は、既存の都市ガスインフラをそのまま利用できる点にあります。

これは、e-methane(e-メタン)の主成分が都市ガスと同じメタン(CH4)であるためです。分子サイズや燃焼特性が都市ガスとほぼ同じなので、家庭や工場の既存設備を大規模に改修することなく、利用が可能なのです。

e-methane(e-メタン)は、既存の設備を有効活用できる魅力的なエネルギーといえますが、商用化には、大規模な製造設備の整備が必要です。現状、実証段階の設備は小規模であり、今後の技術革新と大規模化に向けた取り組みが不可欠です。

まとめ:未来のエネルギーミックス

未来のエネルギーミックスの実現には、それぞれのエネルギーが持つ特性を活かし最適な形で組み合わせて利用していことが重要な鍵となるでしょう。

 

補足と注意事項

掲載内容は2025年10月現在の情報に基づいています。最新の研究開発動向や政策によって、状況は変化する可能性があります。

 

参考文献

●日本ガス協会
メタネーションとは
https://www.gas.or.jp/gastainable/methanation/

●日本ガス協会
e-methaneとは
https://www.gas.or.jp/gastainable/e-methane/

●資源エネルギー庁
ガスのカーボンニュートラル化を実現する「メタネーション」技術
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/methanation.html

●資源エネルギー庁
ガスだって、「カーボンニュートラル」に!
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/what_is_methanation.html

 
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