
記事掲載日:2025/07/11
愛知県内に3つの工場を持つ寺田タカロン株式会社。同社の創業は、大正11年(1922年)にまで遡ります。 アパレル製品の製造から始まり、現在は工業用高密度フエルトを使った自動車用内装資材などの製造が主流。多くの大手自動車メーカーに製品が採用されています。 もともと材料の90%以上にリサイクル製品を使用し、リサイクル・リユース・リデュースを実践する同社が、更なるCO2削減を目指して、カーボンニュートラルに取り組んでいます。 今回その取り組みについて、代表取締役社長の寺田光徳さんにお話をお伺いしました。(インタビューライター 生木卓)

寺田タカロン株式会社代表取締役社長 寺田光徳さん
寺田社長:もともと当社は毛織の会社として、スーツやコートなどの生地を製造していました。 そんな中、昭和40年代に自動車産業の将来性に着目して、ベンチャー事業の一つとしてフエルトによる自動車部品の製造を開始。 現在はこれが当社の主幹事業として、多くの自動車メーカーさまやその関連会社さまとお取引をいただいています。
寺田社長:主にフロアカーペットの下やドア・天井の内側、エンジンと室内を隔てるダッシュボードの裏側などになります。 これらの部品の主な役割は、走行中に発生するロードノイズやエンジン音を吸収し、車内の静粛性を高めることで、快適なドライブ環境づくりに貢献しています。 残念ながら私たちの製品がユーザーの目にふれることはほとんどありませんが、クルマのカーペットのすぐ下には当社の製品があるんです。

寺田社長:私たちのフエルトの原料には、廃棄されるはずだった古着やアパレル工場で出る生地の端材などを多く利用しています。 そういった意味では「リサイクル」という言葉が一般的になるずっと以前から、私たちは資源を再利用して製品を生み出してきました。

生地の端材をわた状にほぐしてフエルトを製造
※CN×Pは、東邦ガスのカーボンニュートラルに取り組む企業の皆さまを支援するサービスです。
寺田社長:きっかけは、2023年にある取引先からカーボンニュートラルの実現に向けた計画書の提出を求められたことです。 近年、世界全体がカーボンニュートラルに向けて動き始めている中で、自動車業界もその例外ではありません。しかしながら、 私たちの製造工程で排出されるCO2については、工場全体の排出量をおおよそ把握する程度であり、それ以上の細かい数値までを算出したことはなく、 正直「何から手をつけていいかわからない」という状態でした。 そこでエネルギーの専門家である東邦ガスさんに相談をして、コンサルティングを受けることにしました。
寺田社長:東邦ガスの担当者の方には何度も当社に足を運んでいただき、製造現場の状況の調査やエネルギーの使用状況の確認などを行っていただきました。 工場自体が古く、一部電気回路の図面などが残っていないこともありましたが、 ずっと工場を支えてきたベテラン社員の知見も活かしながら工場全体のエネルギーの使用量についての「見える化」に取り組みました。


フエルトの製造工程
寺田社長:これまで漠然と捉えていたCO2の排出量が具体的な数値として明らかになったことに、まずは驚きました。 さらに、それを踏まえた上でカーボンニュートラルの実現に向けた、さまざまな打ち手とロードマップを提案していただくことができました。 このロードマップには、既に着手していた照明のLED 化やCO2フリー電力の購入だけでなく、省エネ効果の高いヒートポンプの導入やファンモーターのインバーター化といった、 私たちだけでは考えつかないようなアイデアが盛り込まれており、今後の取り組むべきこととその優先順位が明確になりました。
寺田社長:現在、フエルト業界はよりサステナビリティを意識した原料の配合率の追求など、さまざまな課題を抱えています。 そんな中、当社が取り組んでいるカーボンニュートラルへの取り組みは、同業他社にも先駆けたものだと自負しています。 今後はこの計画に沿ってできることから少しずつ、カーボンニュートラルに取り組んでいきたいと考えています。 普段は見えないところでクルマの快適性を支えているフエルトのように、私たちの地道な努力が持続可能な未来を支える一助となることを願います。

