記事掲載日:2025/03/19
気候変動の影響で猛暑日が増加し、一日の寒暖差も大きくなる昨今、 教育の場においても施設の空調設備は欠かせないものになっています。 特に、ここ数年はその整備が急速に求められており、文部科学省からの補助金に加えて、 2024年には愛知県からも県独自の補助金の支援策が実施されることに。今回は2024年に体育館に空調設備を導入された、 学校法人尾張学園が運営する名古屋大谷高等学校の梶浦伸祐校長と豊田大谷高等学校の加藤聡校長にお話をお伺いしました。(インタビューライター 生木卓)
梶浦校長:名古屋大谷高等学校は、1827年に名古屋市中区にある真宗大谷派 名古屋別院の境内に 閲蔵長屋と称する学習の場が開かれたことに始まります。その後、1936年に現在の名古屋市瑞穂区に移転。2029年には創立200周年を迎える、 全国でも長い歴史のある高等学校の一つです。学科は普通科(4コース)と商業科に分かれており、 部活動では陸上競技部が43回連続でインターハイ出場を続けています。
名古屋大谷高等学校 梶浦伸祐校長
加藤校長:豊田大谷高等学校は、1984年に名古屋大谷高等学校の分校として開校され、 2024年に創立40周年を迎えました。学科は普通科のみで、その中で目的に合わせた6つのコースに分かれています。 部活動では、野球部が1997年と1998年の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)に出場、ダンス部は日本高校ダンス部選手権(全国大会)で準優勝の実績があります。 また、全国で唯一の空道部があります。
豊田大谷高等学校 加藤聡校長
梶浦校長:両校で掲げている建学の精神は「宗祖 親鸞聖人のみ教えに基づき、いのちを大切にし、 真実に生きる人間形成を目指す。」というものです。その上で名古屋大谷高校では、「人と生まれ人になる」を校訓としています。 学生生活を通じて「人として生まれたことが一体どういうことであるのか」を一緒に考えていきます。
加藤校長:豊田大谷高校の校訓は「命尊し」です。自らの命の尊さに目覚め、他のすべての命とともに、 自分の命に対して向き合って生きるということが一体どういうことなのか、それを考えることをテーマにしています。
梶浦校長:名古屋大谷高校では、以前より総合体育館に多目的ホールなどを併設した 「洗心館」という建屋がありました。2014年に建て直しを行った際に、 多目的ホールなどの部分は冷暖房完備となりましたが、総合体育館の部分の空調設備は未整備のままでした。
加藤校長:豊田大谷高校では、開校から3年後の1987年に体育館「豊徳館」が竣工しました。 当時の体育館としては一般的な、空調設備のない従来型の体育館です。 その後、2021年に第2体育館が竣工し、こちらには冷暖房が完備されています。
梶浦校長:教室などがある本校舎については、以前より冷暖房が完備されておりました。 近年の気温上昇もあり、体育の授業などで体育館を利用する機会が増え、より良い環境を整備するため、空調導入の検討を進めていました。 こうした中、導入に向けて法人内で予算を組んでいる際に、文部科学省からの補助金に加え、 愛知県からも県独自の補助金の支援策の募集が決まったことも追い風となりました。
名古屋大谷高等学校さま 体育館の都市ガス空調設備(室内機)
※写真:名古屋大谷高等学校さまご提供
加藤校長:豊田大谷高校についても、豊徳館(体育館)以外は、空調が完備されている状態でしたので、 名古屋大谷高校と同じタイミングで体育館にも空調を導入することになりました。 それに先立って、近隣で空調設備を導入されたばかりの中学校の視察をさせていただき、 設備据え付けのイメージをすることができたのも良かったと思います。
豊田大谷高等学校さま 体育館の都市ガス空調設備(室内機)
梶浦校長:空調設備を導入する際、一般的に電気空調かガス空調かという選択肢があります。 名古屋大谷高校の場合は、電気空調を導入するのであればキュービクル(受電設備)も増設する必要がありました。 今回は、東邦ガスエナジーエンジニアリングさんからランニングコストのシミュレーションを出してもらえたので、 イニシャルコストとともにガス空調の方がメリットが大きいと勘案しガス空調を採択しました。
名古屋大谷高等学校さま 都市ガス空調設備(室外機)
※写真:名古屋大谷高等学校さまご提供
加藤校長:工事のスケジュールについては施工業者の方としっかりとすり合わせをしました。 工事が始まるのが6月だったため、定期考査の期間中は音の出る工事を控えてもらうことや、 授業のある時間帯は工事を避けてもらったり、室内機の据え付けを行う日程を調整するなど、 生徒の学校生活に支障が出ないように細心の注意を払いましたね。
豊田大谷高等学校さま 都市ガス空調設備(室外機)
梶浦校長:工事が終わったのが夏だったので、入った瞬間から「涼しい」「快適」 という声が上がり導入して良かったと感じました。保護者の方に来ていただく機会もあったのですが、 広い施設の中にもしっかり空調が効いていることで、高い評価を得ることができたと思います。
加藤校長:毎年、夏場に開催しているオープンスクールの際、 これまでは各教室を活用して少人数単位で学校説明を行っていたのですが、夏場でも参加者の皆さんを体育館に一堂に集めて開催できるようになりました。 教職員からも「快適になった」「授業がしやすい」という喜びの声が上がっています。
梶浦校長:体育館という広い場所になりますので、空調を動かすにはやはりそれなりのコスト(光熱費)が掛かります。 理想は常時運転ですが、まったく人がいない時間帯もあるため、必然的に運用のルールはつくらなければいけません。 ただこれも規程一点張りではなく、生徒や教職員の体調を第一に考えて柔軟に対応するようにしています。 運用については上手に使いこなしていく方法を、これからも探っていきたいですね。