【事例紹介】フジパン株式会社 豊明工場さまの取り組みについて|TOHOBIZNEX

【事例紹介】フジパン株式会社 豊明工場さまの取り組みについて

「見える化」で、日々のガス使用量の削減に成功。製造スタッフの意識にも変化
(フジパン株式会社 豊明工場さま)

記事掲載日:2025/1/9

カーボンニュートラルの実現に向け、これまでもさまざまな取り組みを行ってきたフジパングループ。 豊明工場では2023年より、新たな取り組みとして一部の製造ラインで、ガスの使用量をリアルタイムで計測する「見える化」を行っています。 実施までの経緯やその成果について、豊明工場 環境コンプライアンス.DXの磯野学課長にお話を伺いました。(インタビューライター 生木卓)

フジパン株式会社 豊明工場さま

Q.フジパン豊明工場について教えてください。

フジパングループでは、パン、和菓子、洋菓子、弁当、麺類など、さまざまな食品の製造・販売を行っています。 その中で豊明工場では、主にパンと洋菓子に加えて一部の和菓子の製造を行っており、愛知・岐阜・三重・静岡と、北陸地域の一部に商品を出荷しています。 当工場は全国に9つあるフジパングループの工場の中でも、大阪の枚方工場と並んで、グループ最大規模の製造設備がある工場となっています。

フジパン株式会社 豊明工場さま

豊明工場 環境コンプライアンス.DX 磯野学課長

Q.フジパングループでは、これまでカーボンニュートラルに向けどんな取り組みをされてきましたか?

環境に関する問題をグループ全体の最重要課題の一つと考えており、 基本理念の中にも「気候変動への対応」と「資源の有効活用」を挙げ、さまざまな形で環境サスティナビリティへの取り組みを行ってきました。

たとえば製品については、プラスチック削減の一環として、食パンなどのパッケージに使用していたバック・クロージャ―を廃止したり、 パッケージの印刷に使われているインキに、植物由来原料を配合した「バイオマスインキ」を使用したりしています。

また製造の現場では、作業の効率化によるエネルギー使用量の削減や廃熱エネルギーの再利用、照明のLED化などにも取り組んできました。 豊明工場には約2200基の照明が使われていますが、2025年8月までの全LED化を目指して順次入れ替えを行っており、現在約90%まで進んでいます。

これらのSDGsに関連する活動については、2か月に1回、グループ全体の環境戦略会議が開かれ、 それらの成果やそれぞれの工場での取り組みなどについての発表や情報共有が行われています。

Q. 今回の「ガス使用量の見える化」については、どのように進んだのでしょうか?

当工場では主にパンを焼くオーブンでガスを利用しており、これまでガスの使用量については、 10日ごとにその累計の数字だけを記録して対応していました。今回は実験的に2つの製造ラインについて、1時間ごとの使用量を把握して、 より使用量の削減に努めたいということで、東邦ガスさんに相談してそのための装置を取り付けてもらうことになりました。

フジパン株式会社 豊明工場さま 見える化
フジパン株式会社 豊明工場さま 見える化

具体的には、オーブンの横に取り付けてある既設のガス流量計のそばにデータをリアルタイムで飛ばす装置を設置して、 さらにそのデータを事務所まで飛ばす中継器を屋上に取り付けました。工夫した点としては、食品工場の中に設置する装置ですので、 万一の際にも装置の部品が食品に混入しないように材質や形状を変更してもらいました。取り付け工事自体は数時間で終了。 測定されたデータは、リアルタイムで事務室のパソコンで確認できるようになっています。

フジパン株式会社 豊明工場さま

Q. 「ガス使用量の見える化」をした成果はいかがですか?

これまでにもメンテナンス日の前にはオーブンのガスを止めるなどの対応をしてきましたが、 1時間ごとの使用量がわかったことで、作業終了時の止め忘れの防止や「もう1時間早く止められませんか?」など、 製造現場とも協力しながら、より細かい対応ができるようになりました。その結果、製造現場で働く方が、 これまでに以上にガスを止めるタイミングには気をつけてもらえるようになり意識が変わったと感じています。 ガスの使用量の変化としては、一日単位では微々たるものにしかなりませんが、 これを年単位、十年単位と続けていくことが大切だと考えています。

Q. 今後の取り組みついても教えてください。

オーブンの場合は、再稼働させる際に再び多くのエネルギーや時間を要することになりますので、 単純に「早く止めればいい」というものでのないのが難しいところです。今後はオーブン内の温度も考慮しながら、 少しでもガスの使用量を抑えていくのはもちろん、製造現場での見える化など作業者の意識向上にも取り組んでいきたいと考えています。

フジパンが行った消費者アンケートでも、若い世代を中心としたすべての年代において、 サスティナビリティに配慮された商品を好んで購入するという結果が出ており、カーボンニュートラルに向けた取り組みは、 今後も社会におけるより大きな課題となっていくでしょう。その中で企業としてはもちろん、 一人ひとりがより高い意識をもって行動していくことが大切ではないでしょうか。 フジパングループ全体としても、今後もできることからチャレンジを続けていきます。

≪取材協力≫

フジパン株式会社 豊明工場さま

≪ライタープロフィール≫
  • 生木卓(なるき・たかし)
  • 三重県四日市市出身。名古屋と東京を拠点に「インタビューライター」として、これまでに学生から経営者まで5000名以上の取材を担当。 20 年以上の求人広告制作の経験を生かして、幅広い業界の会社パンフレットや入社案内、会報誌、Webサイト、広告物などの企画・取材・ライティング実績があります。

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