記事掲載日:2024/12/6
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一つとして注目されている「水素の利用」。 東邦ガスは、これまでも水素の製造・供給を行っていましたが、2024年6月新たに 水素の製造設備を東邦ガス知多緑浜工場の敷地内に建設。すでに多くのお客さまへの供給を始めています。 これまでの取り組みと今後の展望などについて 、東邦ガス カーボンニュートラル開発部の青山高幸課長にお話をお伺いしました。(インタビューライター 生木卓)
東邦ガスでは、「2050年カーボンニュートラルへの挑戦」という取り組みの中で水素をガス・電気と並ぶエネルギーの軸にするという目標を掲げています。 これまで東海市の技術研究所で製造した水素を、愛知県内の自社水素ステーションなどに供給していましたが、 中部地区における旺盛な 水素利用ニーズに応えるためには、知多緑浜工場における水素供給拠点化構想を早期に具体化していく必要がありました。
水素は燃焼時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されています。ガスを燃焼させるバーナや工業炉・熱処理などに利用されている製造業においては、 カーボンニュートラルの実現に向けて水素活用を検討されている企業さまが多数いらっしゃいます。
完成した水素製造プラントは、1日に1.7トンの水素製造能力を有しており、水素トレーラーや水素カードルに充填して、 モビリティ(水素ステーション)・熱分野・工業用原料など、さまざまな用途に向けて供給することができます。当社が運営しているオンサイト型 水素ステーションと比較し、 2倍強の水素を製造できる設備となっています。また水素製造プラントは高圧ガス保安法により年1回の点検義務がありますが、 当プラントが休止している間は、アライアンス先からバックアップ供給を受けることで、水素供給を継続できます。
知多緑浜工場 水素製造プラント
知多緑浜工場 水素製造プラントのレイアウト
システムフロー図
当プラントで製造された水素は、その使用用途に制限がありません。熱分野では、ガス燃焼のバーナや工業炉などを利用している製造業のお客さまの中に、 エネルギーの代替を検討されているところがいくつかあり、燃焼用エネルギーとしての供給や設備の共同研究のような形でご利用いただいています。多くのお客さまが水素の利用 を検討されている段階にあり、低廉な水素を提供することで地域の水素利用拡大に貢献できればと考えています。 また、水素ステーションといったモビリティ分野や工業用原料としての用途もあり、幅広い分野に向けて水素の供給を進めています。
水素の需要拡大に合わせて、プラント自体も規模を拡充していくことを検討していきます。また水素製造時に発生するCO2に対しては、 現状ではお客さまのニーズに合わせてクレジットの活用によるオフセットに対応しており、これらをCCUやCCSとして活用するための研究・開発も行っています。
※CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)/水素製造時などに排出されるCO2を、分離・ 回収・利用して新たな製品の製造やエネルギーとして再利用する技術
※CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/水素製造時などに排出されるCO2を、分離・回収・貯留 する技術
東邦ガスでは今回の水素製造プラント開設で、水素のサプライチェーンとして製造から供給までをワンストップで行う体制が整いました。 カーボンニュートラルの実現に向けて、 水素ガスの利用をご検討されている企業の皆さまは、検討の段階や水素の利用量・頻度などを問わず、ぜひお気軽にお問い合わせください。
東邦ガスでは水素バーナの開発や、燃焼技術の研究を行っている部門もあり、さまざまな形でのご提案やご協力ができるかと思います。 また、アライアンスのご相談も受け付けております。営業エリアの限定もしておりませんので、遠方への供給にも柔軟に対応させていただきます。