【事例紹介】株式会社ジェイテクトさまのカーボンニュートラルの実現に向けた取り組み|TOHOBIZNEX

【事例紹介】株式会社ジェイテクトさまのカーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

カーボンニュートラルへの挑戦!水素バーナを利用したアルミ溶解炉の開発
(株式会社ジェイテクトさま)

記事掲載日:2024/2/19

トヨタグループ主要17社のうちの1社として、自動車部品製造の中でアルミニウム鋳造を行っている株式会社ジェイテクト。 アルミニウム鋳造の溶解工程では大量のガス燃焼によるCO2が発生するため、同社では以前よりカーボンニュートラルの実現に向け、さまざまな取り組みを行ってきました。 その一つが今回紹介する「水素バーナを採用したアルミ溶解炉の開発」。 燃焼させるガスを都市ガスから水素ガスに替えることで、どのような効果が得られ、その実現にはどのような課題があるのか。 同社素形材革新部流体成形技術室の近藤室長、松浦グループ長、深谷プロジェクトマネージャーに、お話を伺いました。(インタビューライター 生木卓)

株式会社ジェイテクトさま

Q.今回のプロジェクトの概要について教えてください

近藤さま:都市ガスを燃やすとどうしてもCO2が発生しますが、水素ガスは燃えても水しか発生しません。 そこで当社で製品を製造する際に燃焼させている都市ガスを、水素ガスに替えることはできないだろうかということで、2021年の夏ごろからこのプロジェクトはスタートしました。

深谷さま:理論的には以前より提唱されていた技術ではあったのですが、当時はそのための技術や設備を公開しているところが少なかったため、実用化には結びついていませんでした。 そこに2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた宣言が出され、実際に水素バーナの開発というニュースもリリースされたことで、当社としても実用化を検討していこうという話になりました。

Q.実際の水素バーナを見られた感想はいかがでしたか?

近藤さま:実物は東邦ガスさんの研究所で初めて見ました。それまで水素バーナをつかったことがなかったのですが、 はじめて水素バーナでアルミニウムが溶ける様子を見て、「都市ガスと同じような成果は発揮できそうだ」と感じました。

松浦さま:その一方で都市ガスと水素ガスでは、炎の温度や輝炎かどうかなどが異なります。 単純に溶かすことはできても、これが製品製造においてどのような影響を及ぼすのかは、大きな課題でした。また、水素バーナを使用するための溶解炉も同時に開発する必要がありました。

Q.そこからプロジェクトはどのように進んでいくのですか?

近藤さま:水素ガスを利用する際のもう一つの大きな課題として、水素ガスの生成と供給があります。現状では、水素ガスは都市ガスの数倍ものコストがかかります。 そのため当社では、水素ガスの実用化に向けて水素ガスを生成・貯蔵・供給する技術開発のプロジェクトも同時に進めています。 そこで国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に申請して、それらの実現を目指すことになりました。

深谷さま:プロジェクトは3段階で進めています。まずは水素バーナや溶解炉の開発、次にそれらを使った試作品の製造、 そして量産工場での実用です。プロジェクトは年単位で計画され2025年度の実用化を目指しています。

Q.プロジェクトの進捗状況はいかがですか?

近藤さま:水素バーナによるアルミニウムの溶解については順調です。 課題だった燃焼範囲の問題についても、炉の形状を変えたことと、素材に炎を当てる角度を調整したことで、クリアになりました。 この成果は、NEDOの助成事業の結果得られたもので、NEDOに対しても定期的に報告会を行い、進捗状況を説明しています。

松浦さま:現在は、第二段階である実証機をつかった試作品の製造に向けて準備を進めているところです。 水素ガスを生成するための電力を供給する太陽光発電パネルも設置しました。

Q.社内からのどのような反応がありますか?

近藤さま:当社の製造工程の中でも一番CO2の排出量が大きいのがアルニウムを溶解する際の燃焼です。 これまでも電気炉と都市ガスのハイブリッド炉の導入などさまざまな取り組みを行ってきましたが、炉をはじめとした設備を更新するのはコストの問題もあり、なかなかすべてを実現するところにまで至っていません。 また、都市ガスのみを燃料とする炉から電気炉と都市ガスのハイブリッド炉への変更でCO2の排出量は約半分になりますが、水素バーナが実現すると一気に10%まで減らすことができます。 そういった意味でも、このプロジェクトにはカーボンニュートラル達成に貢献できると経営陣も大きな期待を寄せています。

深谷さま:カーボンニュートラルの実現に向けては、自社だけでなくトヨタグループとしての目標値もありますから、 水素バーナの実用そのものが当社だけでなくグループ、そして製造業全体へのアピールにもなるのではないかと考えています。

Q. 今後の計画について教えてください

近藤さま:プロジェクトとしては当初の予定通り2025年度の実用化を目指しています。 水素ガスの利用については、ここで得られた知見を活かして、ゆくゆくはアルミニウム加工だけでなく、熱処理などの事業にも横展開をしていければと考えています。

松浦さま:今回のプロジェクトでは、再生エネルギーによるクリーンな電気で、クリーンな水素をつくるところから始めています。 単なる水素バーナを使った水素ガスの燃焼だけでなく、その根本から取り組むことで、カーボンニュートラルにも大きく寄与できると確信しています。

≪取材協力≫

≪ライタープロフィール≫
  • 生木卓(なるき・たかし)
  • 三重県四日市市出身。名古屋と東京を拠点に「インタビューライター」として、これまでに学生から経営者まで5000名以上の取材を担当。 20 年以上の求人広告制作の経験を生かして、幅広い業界の会社パンフレットや入社案内、会報誌、Webサイト、広告物などの企画・取材・ライティング実績があります。

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