記事掲載日:2024/1/29
新型コロナによるパンデミックも落ち着きを見せたかと思いきや、原材料費や光熱費の高騰によって依然として飲食店の経営には厳しい状況が続いています。 今回は、生産性向上を支援し、最低賃金の引き上げをはかる目的で厚生労働省が主導している「業務改善助成金」について解説していきます。(経営コンサルタント 黒田直和)
※業務改善助成金は厚生労働省が主導し、管轄は各都道府県の労働局となります。事業所所在地の労働局にて申請・交付となります。
中小企業や小規模事業者が取り組む生産性向上及び従業員の賃金引上げを支援する為の最大600万円の助成金です。 また、この助成金は一事業に対してではなく、各店舗ごとに申請できることもポイントとなります。助成金の対象は中小企業及び小規模事業者であることが条件となります。
(中小企業・小規模事業者とは)以下のA又はBの要件を満たす事業者です。
(厚生労働省「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業:業務改善助成金」から引用)
業務改善助成金を申請するにあたっては「生産性の向上」「賃金の引上げ」のポイントがあります。
(厚生労働省「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業:業務改善助成金」から引用)
「生産性の向上」は、機械設備導入やコンサルティング、人材育成、教育訓練等かなり幅の広い内容が対象となります。 飲食店においては、顧客管理の為のPOSレジシステムや料理の生産効率を上げられるスチームコンベクションオーブンの導入等があります。 自前では難しかった設備を少ない自己負担で導入できるため上手に活用していきたいところです。 また、照明機器をLEDに交換することやエアコンを設置することは、設備投資とはいえ「生産性の向上」の項目には当てはまらないので注意が必要です。
「賃金引上げ」は、事業内最低賃金という、お店で働く従業員の中で最も低い賃金を引き上げることを指します。
今回は、「生産性の向上」について、飲食店の事例を交えたシミュレーションを用いてご紹介します。
こちらのお店は業務改善助成金を活用し、旧型レジを最新の券売機へと交換しました。 最新の券売機へと交換は、たくさんのメリットがあるのは分かっていても費用が高額な為、自前ではなかなか導入へ踏み切れないという悩みがありました。
*旧型レジを最新の券売機へと交換したことによる実際のメリット
また、こちらのラーメン店においては、従来まで人の手で作業を行っていた調理工程の機械化も実施しました。 時間短縮や効率化、品質の均一化という大きなメリット具体的には、厨房担当のスタッフが手切りで行っていた作業工程を、 ミートスライサーを導入して全スタッフが簡単に作業できるようにしたり、手間のかかるチャーシューの仕込みを、スチームコンベクションオーブンの導入により全自動化できたことが挙げられます。 これらの設備の導入は作業時間の短縮に加えて、新たなメニューの開発にも活用できます。
こちらのお店は業務改善助成金を活用し、店内レイアウトの変更改装工事を行いました。 作業スペースや動線の見直しを図り、店内飲食向け作業に加えてテイクアウト用作業もスムーズに行えるような改装が「生産性向上」の要件に合致しました。
店内飲食の売上低下を補う為や、お客様からのニーズもあってテイクアウトを始めたお店のほとんどが既存の作業スペースで作業されている中で、 受け渡し窓・収納棚・作業台等を追加することで大幅な業務効率化が期待できます。
*店内レイアウトの変更改装工事後に期待できるメリット
「業務改善助成金」についての事例を交えた解説はいかがでしたでしょうか?本コラムが飲食店を経営される皆さまのお力になれれば幸いです。
※「業務改善助成金」の詳しい内容は厚生労働省のHP等でご確認ください。
厚生労働省 最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業 業務改善助成金