記事掲載日:2023/11/17
昨今高まるカーボンニュートラルへの取り組みの以前より、「省エネ活動には取り組んでいた」という企業も多くあると思います。工作機械から自動車部品まで、 さまざまな製品の開発から製造までを行っているイヅミ工業株式会社も、そういった先進的な企業の一つです。今回の記事ではイヅミ工業株式会社さまが東邦ガスのサポートのもと実施した 「省エネ活動の見える化」事例を取材。これまでの取り組みの様子や今回の経緯や結果などについて、 イヅミ工業株式会社北崎工場の製造部の新美部長と、保全課の福川課長・鈴木工長に、お話をお伺いしてきました。(インタビューライター 生木卓)
新美部長:イヅミ工業では主に、本社工場で工作機械(摩擦圧接機など)の 製造・販売、設備の設置・移設、北崎工場でカーエアコンコンプレッサー部品、石浜工場でエンジン部品の量産を行っています。 その中で今回、東邦ガスさんに「見得る化(当社ではこう呼んでいます)」をお願いしたのは、北崎工場です。
※見える化→正常・異常を顕在化
見得る化→+異常を正すことで利益を得る
福川課長:北崎工場は、1999年に新設されて以来、二度の増設をして現在に至ります。 2004年に二度目の増設をした際に電力が足りなくなるということで、東邦ガスさんを通じ815KWのガスコージェネレーション(発電機)を2台導入しています。
福川課長:2005年の発電機導入がきっかけで、エネルギーの無駄をなくそうと、 発電機廃温水を利用した排熱利用吸収冷凍機(ジェネリンク)で都市ガスの使用量低減・焼入れ機冷却水の降温、排ガスボイラー蒸気による洗浄機加温機器の導入をしました。
鈴木工長:2014年から目標値を掲げ方針管理で省エネ活動に取り組むようになりました。 それ以前は、どちらかというと製品の生産や品質が優先で、省エネの優先順位は低かったです。 設備のエア漏れ低減活動などが始まり、また細かいところで言えば工場照明のLED化にも取り組みをはじめました。
福川課長:一番苦労したのは現状把握です。電力の総使用量はわかっても、製品一個の生産に使った電力の算出は、単純な割り算しかありませんでした。 具体的にどの工程がどのタイミングでどれくらいの電気を使っているのかがわかりにくかった。同じようにエアも目に見えないので、エア漏れを改修しても、それほどの達成感はありませんでした。
鈴木工長:保全課の私たちでさえこんな調子でしたから、製造スタッフにはなかなか思いは伝わらないですよね。 保全が下げた設備の出力を、品質を保持するために知らない間に現場が元に戻していた…というズレも起こっていました。
福川課長:私たち自身も省エネについての知識が乏しかったので、あの頃はすべてが手探りでしたね。
福川課長:私たちとしては、『思いつくことはやってきた』という状況だったのですが、2021年に当時の社長が、 『これ以上の省エネを進めるためには、数字の見得る化が必要だ』と挙げてくれたことで、 さらなる一歩が踏み出せるように。さっそく発電機の導入時に電力計も取り付けてくれた東邦ガスさんに相談しました。
新美部長:他のエネルギー会社という選択肢もあったのですが、 もともとのシステムにアドオンする形で進められるということで、時間やコストが一番掛からなかったのも決め手の一つです。 見積もりと費用対効果を算出して、稟議書をつくりました。代表が打ち出した方針ですから、予算も下りやすかったですね。
鈴木工長:実際の作業としては、既存の発電機の電力計を活用するほか、コンプレッサーに電力計、各動力棟エアタンクに流量計を取り付けました。 その上で、それらをクラウド上で管理できるシステムをつくってもらいました。 現在では、発電機の稼働状況と各コンプレッサー電力、各動力棟エア流量の1分単位データをパソコンやスマートフォンで確認することができます。
新美部長:コンプレッサーの稼働状況が一目でわかるようになったことで、次の対策を考えることができるようになりました。 それまでは広い工場の中で、保全課の複数名が携帯電話でやりとりをしながら、稼働台数を把握しようとしていたので、大きな進歩です。
鈴木工長:当工場の場合は、全使用電力の約40%をコンプレッサーが占めています。その各稼働状況と電力・流量が「見得る化」されたことで、 コンプレッサーの最適稼働圧力の設定ができるようになったのは大きいですね。製造部門に対しても、『現状がこういう状況だから、ここを効率化したい』 と具体的な数字やタイミングを使いながら相談できるようになりました。まさに“見得る化”が実現したということです。
鈴木工長:製造現場の人にもより電気の使用状況を理解してもらえるように、東邦ガスさんに協力してもらって、工場内に電気使用量のモニターを設置しようと計画しています。 あとは順次コンプレッサーの更新を進めているところなので、測定されたデータをもとに、少しでもよいものに替えられればと考えています。
福川課長:システムを導入した後、設定を合わせるのにも2カ月ほど掛かりましたので、実際の運用が始まってからはまだ6カ月程度です。 以前の同じ生産量のときと比べると確実に使用電力は減っていますが、夏場はどうしてもエアコンで電力消費量が上がり、あとはコロナ禍で工場全体の稼働率が下がっていたこともあり、 まだ正確なデータが出そろっているとはいえません。 ただ昨今の電気代も上がっている中、昨年比で月約70万円の電気代の削減は実現することができました。
新美部長:現社長にもこの見得る化の取り組みを理解してもらっています。 今後さらなる改善を進めるにあたり、現システムにコンプレッサー圧力の「見得る化」も取り入れる計画です。 コンプレッサーの圧力を0.1Mpa下げると電力は7%下がるといわれているので、品質に影響しない圧力の下げどころを探ってさらなる電力削減に取り組んでいきます。
新美部長:イヅミ工業の強みは、工作機械製造から部品量産までをスルーで自社で担えることです。 今日お話しした、これまでの取り組みから見得る化の実現、電気代削減までの流れは、そんな当社のチームワークが発揮された例の一つだと自負しています。 省エネ活動は、働くすべての人が現状を理解して、一人ひとりが意識を持つことが大切です。 今後、どんなものを作るにせよ、ここで得た経験は必ず生きてくると確信しています。

カーボンニュートラル達成に向けた取り組みをトータルでサポートします。
東邦ガスの見える化サービスは、様々なエネルギーの見える化によるエネルギー利用改善をご提案いたします。