飲食店は「インボイス制度」どうしているの?結局しないとどうなるの?わかりやすく解説します。|TOHOBIZNEX

飲食店は「インボイス制度」どうしているの?結局しないとどうなるの?わかりやすく解説します。

【インボイス(適格請求書)制度】Web請求書ダウンロードサービスのご案内

記事掲載日:2023/11/13

2023年10月から始まった「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」。

飲食店を経営されている方の中には「結局どうすればいいの?」とお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。 今回の記事では、そんなインボイス制度について、わかりやすく解説していきたいと思います。(経営コンサルタント 小山内正典)

インボイス制度とは

インボイス(適格請求書)とは、商品やサービスの売り手が買い手に対して正確な税率や消費税額を伝えるための手段で、 「請求書」とありますが、実際には請求書だけでなく、領収書やレシートなど取引の証明になるもの全てが含まれます。 業態にもよりますが、通常の飲食業の場合は領収書またはレシートを発行することがほとんどだと思います。

インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者のみ」で、その適格請求書発行事業者になるには「課税事業者になって、 適格請求書発行事業者として登録すること」が必須となります。

そしてインボイス制度は、そのインボイスを利用した「消費税の仕入税額控除の新しい仕組み」です。

「適格請求書発行事業者」登録するか、しないか、その線引きは?

すでに課税売上高が1,000万円を超えており、課税事業者になっている場合はぜひ登録をしましょう。 インボイスを発行するための準備や手間はどうしてもかかりますが、その他にデメリットはないと言えます。

検討しなければいけないのは、課税売上高が1,000万円以下の免税事業者です。

飲食店が「売り手」になる場合の「買い手」はお店にお越しいただけるお客さまです。 インボイスの発行ができないとそのお客さまが接待交際費の税額控除ができなくなるので、お客さまの税負担が大きくなってしまいます。 接待や商談の場所として使われ、交際費や会議費に経費計上するための領収書を発行することが多いタイプのお店であれば、 インボイスの発行ができないという理由で利用を控えられてしまう可能性が高くなり、売上そのものが減ってしまうリスクがあります。

免税事業者は「顧客離れを防ぐため、課税事業者になり、インボイス登録をして消費税を納付するか」または「顧客を失う可能性があるが、 免税のメリットを受けることを続けるか」のジャッジが必要になります。

インボイス登録したら、何が変わる?

インボイス登録をした場合、実務的にやらなくなくてはいけないこととして、 発行するインボイス(領収書やレシート、請求書等)に必要事項を追加するということがあります。 今までは必須とされていなかった項目(適用税率/消費税額/インボイス登録番号)の記載が新たに必要になります。

また、記載事項について、飲食業は「不特定かつ多数のものに課税資産の譲渡を行う一定の事業を行う場合」に 認められる適格簡易請求書(簡易インボイス)の対象になっているため、通常のインボイスには必要な「受け取り側事業者の氏名・名称」 「適用税率と消費税額等のどちらかの記載」を省略することが可能です。

また、今まで受け取る側にのみあった保存義務がインボイス制度では、 発行する側にも保存義務が課されることになったので、この点も注意が必要です。

仕入れ業者との取引にも影響あり

飲食店が「買い手」になる場合の「売り手」は食材や飲料、備品等を購入する仕入れ業者です。 この場合のインボイスは、仕入れ業者から届く請求書や渡される領収書です。

取引する仕入れ業者がインボイス登録をしていない場合はインボイスを発行してもらえないため、 その仕入れにかかった消費税の控除ができず、税負担が大きくなります。

例えば、肉屋から1,080円(内消費税80円/8%)で仕入れたお肉をステーキにして3,300円(内消費税300円/10%)でお客さまに提供した場合、 肉屋が適格請求書発行事業者であれば、お客さまから預かった消費税300円から80円を差し引いて220円の消費税を納めることになります。 ですが、肉屋が適格請求書発行事業者でない場合は、消費税の控除を受けることができないため、お客さまから預かった消費税300円を全額納税することになります。

インボイス

これはとても単純な比較ですが、納める税額に80円の差異が生じます。 飲食店としては適格請求書発行事業者から仕入れる方が、メリットが大きいということになります。

煩雑化する経理業務には早めの対応で準備を!

インボイスに記載間違いや記載漏れがあると、仕入れ額控除を受けることができないため、受領したら正しく記載されているかを確認する必要があります。 もし記載事項の間違いがあった場合は、発行した取引先に修正を依頼しなくてはいけません。

また、受領した請求書、領収書のうち、インボイスに該当するかしないかを仕分ける必要があります。

こうした煩雑化する確認作業や仕分け業務は、経理担当者にとって新たな業務負担となります。

領収書の発行や請求書の受領、仕分けは飲食店にとって日常的な業務のひとつです。 個人経営の店舗の場合、経理ソフトやシステムを導入せず、アナログで処理しているお店もあると思いますが、2024年1月には電子帳簿保存法もスタートします。

飲食店の本業はお客さまをお迎えし、美味しい料理やドリンクを提供して、有意義な時間を過ごしていただくこと。 経理業務は飲食店の経営において避けて通ることのできない業務ですが、本業に差し支えないように経理業務を効率よくこなせるように準備し、実行することが重要です。

≪ライタープロフィール≫
  • 小山内正典(おさない・まさのり)。愛知県名古屋市出身の経営コンサルタント。飲食店のセールスプロモーション企業からコンサルティング会社を経て、 これまでに名古屋や東京を中心に数十店舗のコンサルティングを手がけている。コンサルだけでなく実店舗を経営してきた経験から、 個人店からチェーン店まで幅広い業態やジャンルの飲食店をサポートする。

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