環境用語解説|「水素」とは?燃焼温度などの特徴やその利用法についてわかりやすく解説します。|TOHOBIZNEX

次世代エネルギー「水素」。燃焼温度などの特徴やその利用法についてわかりやすく解説します

水素バーナー

記事掲載日:2023/10/24

カーボンニュートラル実現に向けた新たな次世代のエネルギー源として、水素が注目されています。 これまで水素は主に産業用途で利用されてきましたが、最近では水素を使って発電したり燃焼させて熱エネルギーをつくったりする取り組みが進んでいます。 CO2を排出しないクリーンなエネルギー源として今後ますます活用が期待される水素の特徴を紹介します。(ライター南由美子/nameken)

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色やにおいはなく、燃やした炎も無色

元素周期表の最初に配列された水素は、陽子1個と電子1個からなるシンプルな構造をした元素です。自然界では単独で存在することはあまりありません。 常温常圧では気体(ガス状)ですが、ほとんどは水のように2種類以上の元素からなる化合物の状態で存在しています。

水素の特徴は、あらゆる気体のなかで最も軽く、空気と比較すると水素は14分の1ほど。 また水素は無色・無臭のため、そのままの状態では人間が感知することはできません。火をつけて燃やした炎も無色透明です。 そのため、東京2020オリンピック・パラリンピックで使われた水素燃料の聖火トーチでは炎が見えるようにあえて色をつけていたそうです。 また、マイナス253度まで冷やすと液体になり、体積が約800分の1となります。

水素と都市ガスの燃焼比較

写真:都市ガス(上)水素(下)の火炎の比較

ものが燃えるには「可燃物」「酸素」「着火源」という燃焼の三要素が必要で、可燃性の物質と空気中の酸素が、 火気や静電気といった着火源から熱をもらうことで高温の発熱反応を起こします。

水素は可燃性ガスであるためわずかな火気で着火する可能性がありますが、自然に火がつく発火点は527度。燃焼温度がガソリンの300度よりも高く、 軽い性質のため空気中に拡散して薄まりやすく、自然発火はしにくいといえます。 ただ、着火源があると火が着いて爆発することもあるので、漏らさないような、あるいは万一漏れてもすぐに探知できるような厳密な管理が必要です。

環境問題とエネルギーの安定的確保を同時に解決

水素の主な利用方法として、これまではエネルギー源ではなく、石油の精製や半導体加工などの工業原料として用いられてきました。 これに加え近年は自動車やバスなどの乗り物を動かしたり家庭で電気や熱をつくったりする燃料電池の動力源や、燃焼させて熱エネルギーとして活用されています。

水素をエネルギー源として見た場合、次の特徴があります。

●水素はさまざまな資源からつくれる

化石燃料が限りある資源であるのに対し、水素は宇宙に多く存在し、地球上でもさまざまな資源に含まれているため、たくさんあります。 電気を使って水から取り出せるほか、メタノールやエタノール、下水汚泥、廃プラスチック、不純物を多く含む石炭である褐炭などからもつくれます。

●水素は温室効果ガスを排出しない

水素は酸素と反応して発電または燃焼します。 燃やしても水素と酸素によってつくられる物質は水であるため、CO2などの温室効果ガスは発生せず、水と熱エネルギーができるだけです。

このように、エネルギーとして利用するときにCO2を排出せず、次世代のクリーンエネルギーとして化石燃料からの転換に重要な役割を担うと考えられます。

資源エネルギー庁は2023年6月6日に水素基本戦略を公表し、2030年最大300万トン/年、2040年1,200万トン、2050年2,000万トン程度の導入目標を掲げました。

一方で、我が国の水素導入に向けては、S(Safety:安全性)+ 3E(Energy Security:エネルギー安全保障、 Economic Efficiency:経済効率性、Environment:環境適合)を前提としており、 コスト低減や国際的に遜色ない低炭素な次世代エネルギーとして期待される水素の導入推進が 課題となります。

水素エネルギー利活用の3つの視点

図:水素エネルギー利活用の3つの視点(資源エネルギー庁より引用)

今後、利用技術や輸送・貯蔵の進展によって、水素が次世代エネルギーとして幅広い分野に広がり、脱炭素社会の実現に貢献していくことが求められています。

≪ライタープロフィール≫
  • 南由美子(みなみ・ゆみこ)
  • 愛知県生まれ。飲料メーカーの販売促進、編集プロダクションでの制作を経て、フリーランスに。
  • 中日新聞折り込みの環境専門紙で「世界のエコ」をテーマにしたコーナーを2年半ほど担当。現在はウェブメディアなどで食・住を中心とした暮らしや環境をテーマに執筆。
  • 名古屋エリアのライターやカメラマンで作る一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」の会員。

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参考

文部科学省

水素
https://www.mext.go.jp/stw/common/pdf/series/hydrogen/hydrogen.pdf

経済産業省

水素の性質
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/h2_safety/leaflet_H2.pdf

資源エネルギー庁

「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso.html

水素情報館 東京スイソミル

水素エネルギーとは?
https://www.tokyo-suisomiru.jp/hydrogen-energy/

宮城県

水素エネルギークイズ
https://www.pref.miyagi.jp/documents/4341/quiz.pdf

資源エネルギー庁

水素発電について
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy/suiso_nenryodenchi/suiso_nenryodenchi_wg/pdf/004_02_00.pdf

株式会社ENEOS 水素サプライ&サービス

水素ってなんだっけ?
https://www.eh.jx-group.co.jp/hydrogen-energy/what-is-hydrogen/

東京消防庁

火災の予防
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/inf/bfc/instructor/cp5/index.html

環境省

水素サプライチェーン事業化に関する調査・報告書
https://www.env.go.jp/seisaku/list/ondanka_saisei/lowcarbon-h2-sc/support-tool-info/PDF_Excel/support-tool_report2303.pdf

日本経済新聞

水素とは燃やしても水になるだけの「夢の燃料」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC021WI0S1A500C2000000/

資源エネルギー庁

カーボンニュートラルに向けた水素政策について
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/suiso_nenryo/pdf/013_05_00.pdf

資源エネルギー庁

水素発電について
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy/suiso_nenryodenchi/suiso_nenryodenchi_wg/pdf/004_02_00.pdf

東京都環境局

水素燃焼機器に対する認定制度改正の方向性について
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/torikumi/nox_co2/committee.files/3-1_houkousei.pdf

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