環境用語解説|「スコープ3(Scope3)」とは何か?をわかりやすく解説します。|TOHOBIZNEX

「スコープ3(Scope3)」とは何か?をわかりやすく解説します。

製品別のCO2排出量を見える化 GreenConnex(グリーンコネックス)

記事掲載日:2023/09/28

前回の記事で取り上げた「カーボンフットプリント」は温室効果ガスの排出量を“製品”ごとに算定するものでした。 それに対して、一連の事業活動を行う“組織”全体を対象とするのが「サプライチェーン排出量」です。 その排出量は「スコープ1(Scope1)」から「スコープ3(Scope3)」までの対象範囲で算定しますが、今回は特に範囲の広い「スコープ3(Scope3)」について動向を交えて解説します。

「カーボンフットプリント」に関する記事はコチラ >>

「製品」「資本財」から「出張」「投資」まで15のカテゴリに区分

サプライチェーン排出量とは、原料調達・製造・物流・販売・廃棄など一連の流れ全体で発生するCO2をはじめとした温室効果ガス排出量のことです。 環境面はもちろん、機関投資家や環境格付け機関が企業に開示を求めるなど経済面でも重視されてきています。

環境省と経済産業省は、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の算定・報告に関する国際的基準「GHGプロトコル」をもとに、 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を公表しており、これまでに改訂を重ね2023年3月にはver.2.5をリリースしました。

基本ガイドラインでは、サプライチェーンをGHGプロトコルと同様に以下の3つに分類しています。

  • スコープ1(Scope1):事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
  • スコープ2(Scope2):他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • スコープ3(Scope3):スコープ2(Scope2)以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)

スコープ1(Scope1)〜スコープ3(Scope3)の排出量をすべて加算したものがサプライチェーン排出量です。 このうちスコープ1(Scope1)、スコープ2(Scope2)は報告制度などもあって排出量算定や削減努力が進んできた中、さらなる削減を目指してスコープ3(Scope3)の注目度が高まってきています。

スコープ3(Scope3)では、自社が購入した製品やサービスに関する活動の「上流」から、 自社の販売・サービスに関する活動の「下流」までを15のカテゴリに区分しています。 なお、15カテゴリはGHGプロトコルと共通ですが、「その他」は基本ガイドライン独自のカテゴリで任意です。

また、カーボンフットプリントでは製品ごとの排出量を集約すれば事業者としての排出量が算定できますが、 スコープ3(Scope3)には「資本財」「出張」「雇用者の通勤」など、カーボンフットプリントでは考慮しない算定対象も含まれています。

スコープ3(Scope3)のカテゴリ

現在の基本式は業界平均値を用いる推計値

サプライチェーン排出量を把握するには、 関係する取引先と連携して「サプライチェーンの各段階における実際の排出量データを収集し、積み上げて算定すること」が望ましいとしています。

しかし、「現実的には排出量データの取得が容易ではない段階が存在する可能性」があるため、 比較的把握しやすいデータを使って算定する方法をまとめています。 それが「排出量=活動量×排出原単位」という基本式で、カテゴリごとに計算して合計します。

「活動量」というのは事業者の活動の規模に関する量で、たとえば電気の使用量、貨物の輸送量、廃棄物の処理量、各種取引金額などです。

国は実測値をベースにした「一次データ」での算定を推奨へ

こうしたデータベースや業界の標準値といった外部情報は「二次データ」、望ましいとされる企業自ら収集・把握した個別データを「一次データ」と呼びます。

実測値である一次データは、活動実態とリンクするので毎年進捗を確認できて透明性が高いことが特徴です。一方、二次データは、収集が容易なので、 一次データが入手できなかったりデータの品質が不十分でも排出量を計算できます。

しかし、二次データでは、個々の企業の省CO2取組や、CO2フリー製品の採用といった削減対策の効果を正しく反映するのは難しいといえます。 そこで、国は2024年3月をめどに一次データを使った算定方法の方針を示す見込みに。実測値ベースの算定を推奨して、企業がサプライチェーン全体の排出量の実情を把握し、これまで以上にカーボンニュートラルを推進していくことを求めます。実測となるとコストや手間が大幅に増え、 サプライヤーとの情報共有方法や取引相手への業務負荷がかかる懸念もあり、今後対応に追われる企業も多いと考えられます。

≪ライタープロフィール≫
  • 南由美子(みなみ・ゆみこ)
  • 愛知県生まれ。飲料メーカーの販売促進、編集プロダクションでの制作を経て、フリーランスに。
  • 中日新聞折り込みの環境専門紙で「世界のエコ」をテーマにしたコーナーを2年半ほど担当。現在はウェブメディアなどで食・住を中心とした暮らしや環境をテーマに執筆。
  • 名古屋エリアのライターやカメラマンで作る一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」の会員。

製品別のCO2排出量を見える化 GreenConnex(グリーンコネックス)

参考

環境省

企業のバリューチェーン(スコープ3) 算定と報告の標準
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/Scope3_Guideline.pdf

環境省 経済産業省

サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (ver.2.5)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/GuideLine_ver.2.5.pdf

環境省

サプライチェーン排出量算定の考え方
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf

CDP Worldwide-Japan

スコープ3排出量算定の考え方について
https://cdn.cdp.net/cdp-production/comfy/cms/files/files/000/006/094/original/Scope3_Webinar_2022.pdf

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