温室効果ガス排出量の「見える化」とは?わかりやすく解説します。|TOHOBIZNEX

カーボンニュートラル・東海最前線 連載第12回


CO2排出量を見える化|GreenConnex(グリコネ)

記事掲載日:2023/07/05

政府が2050年のカーボンニュートラル実現を掲げるなか、企業にとって第一歩となるのは自社の温室効果ガス排出量の現状を把握することです。 サプライチェーン全体で削減目標を定めている場合、取引先からの要請で取り組まねばならないケースも多いでしょう。 今回は、温室効果ガス排出量を「見える化」する方法について紹介します。(ライター南由美子/nameken)

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カーボンニュートラル

温室効果ガス排出量の見える化

自社のCO2排出量は簡単に算定可能

温室効果ガスはCO2(二酸化炭素)、CH4(メタン)、N2O(一酸化二窒素)などの総称で、 CO2排出には燃料・電気・熱の使用に伴うエネルギー起源と、工業プロセスの化学反応などによる非エネルギー起源がありますが、 エネルギー起源CO2排出量はいろいろなツールを活用することで簡単に算定できます

中小企業が自社の「エネルギー起源CO2」の排出量を見える化する場合に利用できるのが、 経済産業省が作成した「中小企業のみなさん!!自社のCO2排出量を算定しませんか?」というタイトルのチラシ(ウェブ上のPDFで閲覧可)。 基本的な算定式とともに、計算に必要な燃料ごとの排出係数が示されています。
さらに電力・灯油・都市ガスなどの使用量や料金をExcelシートに入力することでCO2排出量が自動計算される日本商工会議所のCO2チェックシートや、 「中小企業支援機関によるカーボンニュートラル・アクションプラン」に登録する民間事業者による算定ツールの情報も掲載しています。

温室効果ガス排出量を把握したい企業には、IT導入補助金制度も設けられています。 経済産業省は「中小企業のカーボンニュートラル施策」の方向性として、「全ての希望する中小企業が、温室効果ガス排出量を簡易に算定し、削減取組も含めて公表できるよう、 ノウハウの提供や国の電子報告システムの整備を行う」としています。

なお、上述のCO2排出量の算定は、環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」に基づくもの。 この制度は温室効果ガスを一定量以上排出する事業者に排出量の算定と国への報告を義務付け、報告されたデータを公表しています。
より詳しく知りたい場合は「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」や、技術的な助言を示した「温室効果ガス総排出量 算定方法ガイドライン」が ウェブ上で紹介されているので参照してみてはいかがでしょうか。

サプライチェーン全体なら「スコープ」の考えで

温室効果ガス排出削減は、今や自社のみでなく、サプライチェーン全体での取り組みが求められます。
サプライチェーン排出量は原材料調達、製造、物流、販売、廃棄など一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量を意味し、 本連載8回目で取り上げた「スコープ(Scope)」 の考え方を用いて以下の式で表されます。

サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量

  • Scope1排出量:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
  • Scope2排出量:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • Scope3排出量:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。15のカテゴリーに分類。

具体的な算定方法、必要な資料、活用方法などは、環境省のホームページ「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」のほか、 環境省と経済産業省がまとめた「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」でも紹介されています。

また、2008年度から検討が始まっているものにカーボンフットプリント(CFP)制度があります。 原材料調達から廃棄までのCO2排出量を算定する仕組みで、サプライチェーン上で優先的にCO2排出削減に取り組むべきポイントを把握する役割があります。

CFPは企業が算定するには手間がかかり費用負担も大きい割に 、消費者の認知度は低いという問題があります。
そこで経済産業省は「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリント算定・検証等に関する検討会」を実施し、 正確な排出量算定などの統一ルールをまとめ、企業にカーボンフットプリントの取り組みを促す方針。
環境省はモデル企業を公募で選び、比較的容易な排出量の算定方法や、消費者に分かりやすく表示する方法を検討するとしています。

このほか、農林水産省はフードサプライチェーンのカーボンニュートラルを推進するため、 農産物の生産段階における「温室効果ガス簡易算定シート」(試行版)を2022年に作成。生産者が農林水産省ウェブサイトに登録し、 農薬や肥料などの投入量、農業機械や施設暖房などのエネルギー量を入力して算定するものです。現在の対象はコメ、トマト、キュウリの3品目で、 今後ほかの野菜や果物にも広がっていきます。
この算定結果を利用した「温室効果ガス削減効果の見える化ラベル」の農産物は首都圏、近畿、九州などで実証販売されています。

民間企業の支援サービスを利用する方法も

政府だけでなく、さまざまな企業でも温室効果ガス排出量の見える化および見える化支援が進んでいます。
産業横断的な組織であるGreen ✕ Digitalコンソーシアムは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の見える化に向けたプラットフォーム構築などに取り組んでいるほか、 大手化学メーカーでは製品出荷までのCO2排出量を独自のシステムで算定。その方法を他社に提供もしています。

一方、温室効果ガス排出量の算出・把握を自社で行うには、時間も労力もかかり、人材や知識の面からも対応が難しいケースも多々あります。 その場合、排出の現状を見える化し、カーボンニュートラルに向けた課題を明確化するコンサルティングを利用する方法もあります。 東邦ガスのCNカーブも、そのひとつでしょう。それぞれ自社の状況や目標に合わせて適したツール・方法を選びたいものです。


東邦ガスのCN×P

≪ライタープロフィール≫
  • 南由美子(みなみ・ゆみこ)
  • 愛知県生まれ。飲料メーカーの販売促進、編集プロダクションでの制作を経て、フリーランスに。
  • 中日新聞折り込みの環境専門紙で「世界のエコ」をテーマにしたコーナーを2年半ほど担当。現在はウェブメディアなどで食・住を中心とした暮らしや環境をテーマに執筆。
  • 名古屋エリアのライターやカメラマンで作る一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」の会員。

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参考

経済産業省

中小企業のみなさん!!自社のCO2排出量を算定しませんか?
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/SME/pamphlet/santei.pdf

経済産業省 環境経済室

中小企業のカーボンニュートラル施策について
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/SME/network/02.pdf

環境省

グリーン・バリューチェーンプラットフォーム
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/

環境省 経済産業省

サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (ver.2.4)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/GuideLine_ver2.4.pdf

経済産業省

カーボンフットプリントレポート(案) サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリント算定・検証等に関する検討会
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_footprint/pdf/004_05_00.pdf

環境省

温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/about

農林水産省

農産物の脱炭素の「見える化」をしてみませんか
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/220912.html

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