企業のカーボンニュートラルを支援する補助金(2023年度版)をわかりやすく紹介します。|TOHOBIZNEX

カーボンニュートラル・東海最前線 連載第10回


東邦ガスのCN×P

記事掲載日:2023/05/15

2050年カーボンニュートラルに向けて企業の取り組みを後押しする事業が各省から打ち出されています。 2023年度予算案が3月頃に成立した後、それぞれの事業で補助金による支援の公募が始まります。 企業としては自社に合ったものを選び、早めに準備したいもの。そのいくつかを紹介します。(ライター南由美子/nameken)

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カーボンニュートラル

企業のカーボンニュートラルを支援する補助金 2023年度版

「勝負の10年」に充実した事業を展開

カーボンニュートラルに関係する補助金事業の主な担当省庁は環境省か経済産業省です。 (一部、総務省や農林水産省、国土交通省、厚生労働省との連携事業も)

環境省は2023年度重点施策で「炭素中立型経済社会への移行に向けては、『2030年までは勝負の10年』という強い危機感を持ち、 必要な取り組みを進める」と明記。経産省も2023年度経済産業政策の重点として「持続的な成長を可能とする経済社会の実現」の一つに「炭素中立社会の実現」を掲げており、 「一歩前に出て大胆に投資を拡大していく」としています。

補助金によって申請条件、対象となる設備、補助対象となる費用の範囲などは異なるので詳しくは公募要領で確認してください。

省エネ設備改修を支援する補助金

  • 脱炭素経営によるサプライチェーン全体での脱炭素化の潮流に着実に対応するための工場・ 事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)<環境省>

中小企業などの工場や事業場のCO2削減目標・計画策定、設備更新、電化・燃料転換、運用改善を組み合わせた 脱炭素化への取り組みを推進するとともに、企業連携によるサプライチェーンの先進的モデルを創出することを目的とした事業です。
その内容は、工場・事業場での「CO2削減目標・計画の策定支援」、CO2削減計画に基づく「省CO2型設備更新支援」「企業間連携先進モデル支援」などです。
設備更新で主に補助対象となるものは空調、給湯器、コージェネレーションシステム、冷凍冷蔵機器などで、他の主要設備とセットで導入する場合に限られています。

  • コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業<環境省/一部農林水産省・経済産業省・国土交通省各省連携>

冷蔵・冷凍品の流通(コールドチェーン)における脱炭素型自然冷媒機器の導入を支援し、脱フロン化、脱炭素化を推進する事業で、 2023年度から新たに実施されます。冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗を営む企業や団体が、 食品製造ラインのフリーザーや中央方式冷凍冷蔵機器などの脱炭素型自然冷媒機器を導入する費用が補助対象です。

  • 省エネルギー・需要構造転換支援事業費補助金<経済産業省>

工場や事業場に対して、省エネ性能の高い設備・機器への更新や、先進的な機器・設備の導入を支援することで、 2030年度におけるエネルギー需給の見通し達成を目指します。
その概要は「先進事業」として工場などでの省エネや非化石エネルギーへの転換につながる先進的設備の導入支援、 「オーダーメイド事業」として個別設計が必要な設備の導入も含む更新などの支援、「指定設備導入事業」として省エネ性能の高い特定のユーティリティ設備、 生産設備などへの更新支援、「エネルギー需要最適化対策事業」としてエネマネ事業者と共同で作成した計画に基づき、EMS制御や高効率設備の導入、 運用改善の支援を行うものです。(注1)

(注1)EMS(エネルギーマネジメントシステム)は、省エネ設備を統合的に管理するシステム。個々の省エネ機能を組み合わせ、効果を最大に発揮するよう調整する。 それを総合的視点でサポートするのがエネマネ事業者で、一般社団法人環境共創イニシアチブの指定要件を満たすEMSを用いてエネルギー管理支援サービスを提供する。

再エネ導入をサポートする補助金

  • 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業<環境省/一部総務省・農林水産省・経済産業省 各省連携>

企業の自家消費型・地産地消型の再生可能エネルギーの導入を促し、 再エネの主力化と災害などから回復・復旧するレジリエンスの強化を図るための事業です。
事業はいくつかの柱からなり、「(1)ストレージパリティ(注2)の達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」 「(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」「(3)再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業」などがあります。
このうち(1)は業務用や産業用の施設で初期費用をかけずに自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入を支援するもの。 (2)は駐車場や営農地・ため池・廃棄物処理場を活用した太陽光発電の設備導入や、地域の再エネ電気・再エネ熱などを活用した熱分野での CO2ゼロに向けた取り組みの計画策定・設備導入などを支援します。

(注2)太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池を導入しないよりも導入したほうが経済的メリットのある状態のこと。

  • 需要家主導による太陽光発電導入促進補助金<経済産業省>

再エネの導入拡大を進めることが目的。再エネ利用を希望する需要家(注3)が太陽光発電設備を設置し、 FIT/FIP制度(注4)などを使わず、再エネを長期的に利用する契約を結ぶ場合などに適用されます。 2023年度からは新たに蓄電池併設型の設備導入についても支援が拡充されます。

(注3)電気の供給を受けて使用している者。

(注4)FITは固定価格買い取り制度。再エネで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取る。 FIPは2022年度から導入された制度。再エネ発電をした事業者が自ら卸市場などで売電し、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)が上乗せされる。

経営、建物、自動車に関連した補助金

  • サプライチェーン全体での企業の脱炭素経営普及・高度化事業<環境省>

企業の脱炭素化と競争力強化を図るため、2023年度から新設された事業。 脱炭素経営の取り組みをサプライチェーン全体の企業の実務に落とし込み、その取り組みが評価されるための環境整備を行います。
具体的な対象は「(1)サプライチェーンの脱炭素化促進事業」「(2)中小企業向け脱炭素経営実践促進事業」「(3)排出量算定・データ共有の基盤整備事業」の3つ。 (1)にはサプライチェーンでの自社以外のCO2削減努力を自社の排出量に反映できるスコープ3排出量の算定方法を検討・整理し、脱炭素化促進に向けた情報発信を行う 「サプライチェーン全体での脱炭素経営促進情報発信支援事業」のほか「製品・サービスの排出量見える化・削減支援事業」「脱炭素経営の戦略策定・情報開示等支援事業」があります。

  • 建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業<環境省/経済産業省・国土交通省・厚生労働省 各省連携>

業務用施設のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化・省CO2化に役立つ高効率設備などの導入を支援します。 ZEBとは省エネで使うエネルギーを減らし、創エネで使う分のエネルギーをつくってエネルギー消費量の正味(ネット)ゼロを目指す建物のことです。
具体的には新築建築物・既存建築物それぞれの「ZEB化支援事業」、「既存建築物における省CO2改修支援事業」、物流施設での 省エネ型省人化機器や再エネ設備の同時導入を支援する「自立型ゼロエネルギー倉庫モデル促進事業」などがあります。

  • 商用車の電動化促進事業<環境省/経済産業省・国土交通省 各省連携>

トラックやタクシーの電動化を支援する事業です。電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCV)の積極的な導入目標を示した事業者や、 非化石エネルギー転換の影響を受ける事業者に対して車両導入費を支援するとともに、車両の価格低減やイノベ-ションの加速を図り価格競争力を高めるものです。

次回は、
脱炭素燃料といわれる水素・アンモニアについてご紹介します。

≪ライタープロフィール≫
  • 南由美子(みなみ・ゆみこ)
  • 愛知県生まれ。飲料メーカーの販売促進、編集プロダクションでの制作を経て、フリーランスに。
  • 中日新聞折り込みの環境専門紙で「世界のエコ」をテーマにしたコーナーを2年半ほど担当。現在はウェブメディアなどで食・住を中心とした暮らしや環境をテーマに執筆。
  • 名古屋エリアのライターやカメラマンで作る一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」の会員。

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参考

環境省

令和5年度環境省重点施策
https://www.env.go.jp/content/000070046.pdf

環境省

令和5年度予算及び令和4年度補正予算 脱炭素化事業一覧
https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/enetoku/2023/

経済産業省

令和5年度 経済産業政策の重点
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2023/pdf/01.pdf

経済産業省

令和5年度 資源・エネルギー関係概算要求の概要
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2023/pdf/03.pdf

経済産業省

経済産業省のカーボンニュートラルに向けた中小企業支援施策
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220517002/20220517002-3.pdf

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