記事掲載日:2023/01/11
カーボンニュートラルに向けたアイテムの一つとして注目を集めている“水素バーナー”。 東邦ガスでも以前より工業炉における水素燃焼技術の研究開発に取り組んでおり、2021年4月には日本初(注1)となる “都市ガス用シングルエンド型ラジアントチューブバーナー(注2)”における水素燃焼技術の開発に成功。同年6月より実用化に向けた実証試験も始めています。 今回は、東邦ガス 産業エネルギー営業部の清水さんに、水素バーナーを導入するメリットや実用化に向けた現在の状況などについてお伺いしました。 (インタビューライター 生木卓)
注1:東邦ガス調べに基づく
注2:ヘッド部に熱交換器を内蔵したタイプの間接加熱型バーナー
写真 バーナ外観
東邦ガスでは従来の都市ガスバーナー(型式:SRTN-100、(株)ナリタテクノ共同開発品)から、 排ガス再循環部の改造など数点の部品交換のみで、燃料を水素に切り替えることができる“水素ラジアントチューブバーナー”を開発しました。 水素燃焼は都市ガス燃焼に比べて火炎温度が高くなるため、排出NOx量の増加やバーナー部品の耐久度などについての技術課題がありました。 それらの問題をクリアしたのが、水素ラジアントチューブバーナーです。
水素ラジアントチューブバーナーを導入する一番大きなメリットは、燃焼排ガス中のCO2排出量を大幅に削減できることです。 水素ラジアントチューブバーナーは、燃焼に使用する空気と排ガスを効率よく熱交換することで、バーナー効率約75%という高い省エネ性を実現しています。
さらに同バーナーは、従来のガスバーナーから一部の部品のみを交換するだけで使用可能であるため、 比較的簡単にガスから水素へのエネルギーの切り替えができます。またバーナーのトラブルの原因として多い着火不良についても、 独自構造のノズルを採用しているため部品の耐久度が高く、都市ガス同等のメンテナンス性(メンテフリー8年の実績あり)で利用ができると想定しています。
これまでも東邦ガスでは、エネルギーの供給から消費機器の販売・施工・メンテナンスといった一連の流れにおいて、 多くの現場対応や技術の研究開発を行ってきました。工場炉におけるバーナーの利用についても、業界トップクラスの技術力があると自負しています。エネルギー会社として、 水素の可能性をいち早く察知し水素バーナーの研究開発に着手したこと、且つこれまで培ってきた技術的知見を活用したことで、開発することができたと考えます。
課題は大きくは二つあります。まず、燃焼エネルギーとしての水素の供給環境が、まだ十分でないこと。 現状、水素は都市ガスのような導管による供給網が整備されていないため、利用するためには個々の状況に応じて、水素を確保しておく必要があります。 もう一つは製品への影響などが未知な点です。水素ラジアントチューブバーナーは開発しましたが、水素バーナーが都市ガスバーナーに与える影響に関しては、 製品ごとに実証が必要と考えます。東邦ガスは、お客さまと連携し実証試験にも着手しています。
大手製造業を中心としたお客さまの現場で、継続的な実証試験をさせていただいています。 具体的には実際の生産炉にて、都市ガスバーナーと水素バーナー(簡易な部品交換)にて、 都市ガスと水素における製品の製造にどのような影響を与えるのかなどのデータを収集しています。
写真 試験炉外観
国全体として2050年、一部企業では2030年頃を目標に、カーボンニュートラルに向けたさまざまな取り組みを行っています。 水素バーナーの実用化が、その実現に向けた大きな武器の一つになることは間違いありません。 私たちは一刻も早い実用化に向けて、さらなる開発を進めるとともに、実証試験のパートナー企業も募集しています。多くの企業さまと手を組み、 さまざまなデータを集めることで、その実用化も加速するのではないかと考えています。
東邦ガスでは長年の蓄積されたノウハウにより、水素バーナーの導入だけでなく、 水素エネルギーを供給するための配管設計・施工からをワンストップで請け負うことができます。 短期的にはなかなか結果の見えにくい段階ではありますが、10年後20年後のエネルギー利用、カーボンニュートラルの実現に向けて、 早めに水素に関する実証試験に取り組んでいくことで、将来水素が普及した際に、すぐに対応できる体制をつくっておけるかと思います。 少しでもご興味があるお客さまは、まずはお気軽にご相談いただければと思います。よろしくお願いいたします。

カーボンニュートラル達成に向けた取り組みをトータルでサポートします。
東邦ガスの専門スタッフが、蒸気ボイラ・蒸気配管等を現場調査・診断することで、蒸気の「省エネ」をお手伝いします。