記事掲載日:2022/10/3
2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きは、政府でも企業でも活発化しています。 その中で、エネルギーインフラ分野ではどんな取り組みを進めているのでしょう。 今回は東邦ガスのカーボンニュートラルに向けた取り組みについてご紹介します。(ライター南由美子/nameken)
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2022年6月に創立100周年を迎えた東邦ガスは、都市ガス事業の原料を石炭から石油、 そして化石燃料の中で環境負荷が最も小さい天然ガスへと順次転換しながら、多様なエネルギーの提供や安定的供給に取り組んできました。 こうした強みを「エネルギー」「くらし・サービス」「ビジネス・産業」「地域・自治体」「企業のあり方」の5分野に整理した上で、 「2050年の社会像」を描き、カーボンニュートラル実現への方向性を示しています。
「エネルギー」分野では、「カーボンニュートラルなエネルギーが広く安定的に利用されている」 「個人を含む双方向融通や地産地消によりエネルギー需給が最適化されている」のが未来の姿。
こうした社会において東邦ガスグループは「ガス (都市ガス・LPG)」「水素」「電気」の3つを軸としたクリーンなエネルギーを安定的に供給し、 顧客企業を含むサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することが役割だとしています。
3つの軸について、東邦ガスグループが立てているのは次のような方針です。
顧客企業に向けて、石油などから都市ガスへの燃料転換、 省エネや高効率ガス機器によるエネルギーの高度利用を提案し実行することで低・脱炭素化を促進。 グループ内では「カーボンリサイクル」と「ガス自体の脱炭素化」を進める。「カーボンリサイクル」はCO2を回収し、 多様な炭素化合物として再利用する技術のことで、開発に力を入れており、今後さらにCO2の利用や貯留の視点からも技術力に磨きをかける。 「ガス自体の脱炭素化」には、CO2と水素からメタンを合成する「メタネーション」や、 下水処理場などから発生するガスを発電や都市ガス精製に利用する「バイオガス」の導入などがある。
化石燃料、下水汚泥、廃プラスチックなどさまざまな資源からつくることができ、 エネルギーとして利用してもCO2を排出しない水素は、カーボンニュートラル実現の重要な要素。これまで水素燃焼に関わる技術開発に取り組んできており、 製造・調達、供給、利用までを一貫して手掛け、水素の普及を拡大していく。 中部地区での水素利用ニーズに応えるため、知多緑浜工場で水素供給拠点化構想も描いている。
太陽光発電、バイオマス発電などを含む多様な再生可能エネルギー電源の組み合わせによって、電源の脱炭素化・安定化の実現を目指す。
2050年までの中間となる2030年半ばの目標として、東邦ガスグループは事業活動を通じたCO2削減貢献量(2021年度〜)を 300万トン、ガスの「カーボンニュートラル化率(注1)」5%以上という数字を掲げています。
(注1)販売するガスの中でメタネーションやバイオガス、水素利用などによりカーボンニュートラル化したガスが占める割合
東邦ガスはグループ全体でこうした取り組みを進めるだけではなく、 顧客企業がカーボンニュートラルを達成するための支援サービスにも力を入れています。 企業の現状を把握して課題を探るところから、以下のサイクルで進めていきます。
顧客企業のCO2排出量を正しく把握することからスタート。 排出削減のための取り組み効果と費用をグラフ化した「カーボンニュートラルカーブ(注2)」を作成し、 「カーボンニュートラルに向けたロードマップの策定」を提案する。
(注2)省エネ施策評価の新手法「マージナル・アベイトメント・コスト・カーブ」と同義。 個別の削減対策について、想定される削減量と削減コストを把握した上で、取り組むべき優先順位が高い順に各対策を整理するもの。
「カーボンニュートラルカーブ」を作ることによって、CO2排出源ごとに対策を洗い出した上で、 コストと効果の観点から取捨選択できる。そのため、非現実的な対策は除いた上で、実現の見通しのたつCO2削減目標の設定が可能になり、 投資対効果の良い取り組みから順にいつまでに何の対策をするかを決めることで、ロードマップを策定することができる。
従来のほかの手法では、CO2排出量の多い箇所は分かっても、削減のための具体的なアクションが不明だったり、個別の対策の提案があった場合も、 優先順位や削減効果は分からなかったりするケースがあった。
カーボンニュートラルカーブの特徴は、CO2排出源、排出量、対策がセットで提示され、どうアクションすればよいかが直感的に分かりやすくなっていること。 どこから検討・着手すべきか、何を行うとどこまで削減が進むのかも理解しやすい。
ロードマップを立案したら、その実行をサポートする。工場設備の燃焼、蒸気、エアの診断による省エネや、 オペレーションの見直しを図ったり、高効率な機器に更新して老朽設備を入れ替えたりするほか、 カーボンニュートラルにつながるエネルギー活用を提案し、企業のエネルギー消費量を削減する。
提案しているCO2削減サービスのひとつに、「太陽光TPOサービス」がある。TPOとは「Third Party Ownership(第三者所有権)」を 略したもので、太陽光発電の事業者が、電力需要家(注3)の建物に再生可能エネルギー設備を設置する仕組み。建物のオーナーは設備を保有しないが、 発電された電力を購入することで、基本的に初期費用をかけず低コストで再生可能エネルギーを導入できる。
また、水素を熱分野などで幅広く利用できるよう、顧客企業のバーナーや炉を用いて水素燃焼試験を支援するサービスも手がけている。
(注3)電気の供給を受けて利用している者のこと。
一連の運用を振り返り、計画の評価・見直しを実施。設備の稼働分析を行い、運転管理やメンテナンスも支援する。CO2排出量に過不足がある場合は、 削減量や吸収量をクレジットとして売買できるCO2クレジットを創出・調達することも可能。
このように同社では、コンサルティングから削減対策の実行・見直し、燃料の供給までをワンストップでサポート。 企業の状況とニーズに合った対策を進め、地域社会全体でのカーボンニュートラル達成に貢献する取り組みを行っています。
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東邦ガス グループビジョン
https://www.tohogas.co.jp/corporate/company/vision/management/pdf/pdf-group-vision_01.pdf
東邦ガス 2050年 カーボンニュートラルへの挑戦
https://www.tohogas.co.jp/corporate/company/vision/management/carbon-neutral/pdf/carbon-neutral.pdf
経済産業省 資源エネルギー庁
ガスのカーボンニュートラル化を実現する「メタネーション」技術
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/methanation.html
経済産業省 資源エネルギー庁
「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso.html
カーボンニュートラル達成に向けた取り組みをトータルでサポートします。
熱処理炉等の工業炉を東邦ガスのサービス員が現場調査・診断。「安全」と「省エネ」をお手伝いします。